自分が狙れているという不安に駆られるヒロインの心情が生々しい。(点数 60点)
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探してみたけど見つからなかったのではなく、最初からないとわかっ
ていた。どうしてもほしい開戦の口実のために、事実を捻じ曲げ上司
が喜ぶ報告をする。そのためには末端の工作員の身を脅かし、まして
や外国人の安全など歯牙にもかけない。映画は、国家に尽くしたのに、
政権から裏切られた末に偽善者呼ばわりされた夫婦が真実を求めて戦
う姿を描く。偽装していた身分が暴露された直後から、それまで見慣
れていた街の風景が一変し、自分が狙れているという不安に駆られる
ヒロインの心情が生々しい。
【ネタバレ注意】
CIAエージェントのヴァレリーはイラク大量破壊兵器の調査をするが、
どこからも確証は得られない。夫の元大使・ジョーもイラクとニジェ
ールのウラン売買を追うがまったくのシロだった。
ヴァレリーをはじめ、担当のCIA局員たちはこぞって「イラクに核兵器
製造は不可能」とリポートしているのに、100%確実ではないとこじつ
けて核兵器の存在をでっち上げる副大統領の側近たち。さらに新聞に
投稿したジョーを追い詰めるためにヴァレリーの正体を明かし、見せ
しめにするなど、マスコミを利用して世論を煽り刃向うものの抹殺を
図る狡猾かつ巧妙な情報操作が恐ろしいほどリアルだ。
だが、ヴァレリーは己の弱さを嘆く前に、まず犠牲になったイラク人
協力者、いや、おそらくそれ以前にも彼女を信じて命を落とした協力
者たちへの贖罪を果たすべきではなかったか。。。
(福本次郎)