◆物語は一見難病ものだが、ひたすらSW愛を炸裂させ、シメッぽさなど皆無なところが良い(60点)
「スター・ウォーズ」ファンの涙ぐましくもバカバカしい奮闘を描いたロード・ムービーは、SW好きにはたまらない内容だ。時は「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」の公開半年前の1998年。SWオタクのエリックをはじめ、高校時代の同級生たちは公開を待ちわびていた。だが、仲間の1人のライナスが末期ガンで余命わずかであることを知る。なんとか彼に「エピソード1」を見せてやりたい一心で、エリックたちは大陸を横断し、カリフォルニア州にあるジョージ・ルーカスの映画製作の本拠地スカイウォーカー・ランチを目指すことに。目的は、公開前の「エピソード1」の映像データを盗み見ることだった…。
常識を逸した映画オタクが数多く存在するアメリカでは、SF映画では「スター・ウォーズ」派と「スター・トレック」派に大きく分かれる。コスプレやグッズの収集、映画の細部の詳細な記憶と理解度など、そのオタクっぷりはすさまじい。SW命の4人組のウンチクには感心するばかりだが、同時に、わざわざ寄り道して「スター・トレック」ファン、通称トレッキーたちと一戦交えるライバル意識はまるで子供のよう。この2派の確執は根深いのだ。物語は一見難病ものだが、ひたすらSW愛を炸裂させ、シメッぽさなど皆無なところが良い。見所は超豪華なカメオ出演だ。病院のドクター役はなんとレイア姫ことキャリー・フィッシャーだし、「スター・トレック」のカーク船長ことウィリアム・シャトナーが重要な役で出演しているのもビックリした。本来、このテのコメディ映画は、本国アメリカのみでウケるので日本ではDVDスルーが常識。それでも劇場公開にこぎつけたのは、やっぱり日本にも熱烈なSWファンが大勢いるという証だ。クライマックスのスカイウォーカー・ランチ突入は“いくらなんでも”だが、ライナスへの粋な計らいには思わずホロリ。映画を愛する人はやっぱり心優しい。フォースと共にあらんことを!
(渡まち子)