『サイコ』の制作秘話が明らかに! もうひとりのヒッチコック、 妻・アルマの愛に涙、涙です。
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ヒッチコックと言えば、ユーモラスなイメージがありますが、本人は、かなり、神経質で困ったちゃんな所もあったようです。
それを支えたのが、もうひとりのヒッチコック、アルマでした。
1959年7月8日。シカゴで開かれた『ワールド・プレミア』で新作『北北西に進路を取れ』が大反響だったので、アルフレッド・ヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)は、上機嫌でした。
ところが、「もう、60歳なのですから、そろそろ、引き際では?」という記者のぶしつけな質問に腹を立てます。46作品を世に送り出し、サスペンスの巨匠と称えられていても、引退する意志など全くなかったからです。
「意表を突く映画を撮りたい」と実在の大量殺人鬼エド・ゲインの物語『サイコ』に目をつけますが、最初は、妻・アルマ(ヘレン・ミレン)も余りいい顔をしません。
説得の末、アルマは、なんとか、乗り気になりますが、配給会社に出資を断られて……。
ボディスーツを着こなし、ヒッチそっくりなアンソニー・ホプキンスにまず、びっくりです。
よく見ると顔は似てないのに、どこから観てもヒッチに見えます。
妻役のヘレン・ミレンとの共演は、これが初めてとか。
天才と言われながらも、アカデミー賞には無縁。だだっ子のようなわがままぶりを理解し、うまくいなしていたのは、妻アルマだけかもしれません。
自身も、優れた映画編集者であり、脚本家。ヒッチを妻として支え、彼を「神」にしたのです。
『サイコ』で、死体を演じていたジャネット・リーのわずかなまばたきを見つけ、再編集したのも彼女。
制作会社とのトラブル、シャワーシーンに難癖をつける映倫。
さまざま艱難辛苦を乗り越え、再編集された『サイコ』は、大ヒットを飛ばしました。
アルマなしでは、ヒッチは、「神」になれなかったでしょう。
天才を支える周囲は、本当に大変です。
アルマと出会ったヒッチこそが、最高の幸せ者です。
タイトルの『ヒッチコック』は、アルマのことかな、なんて邪推してしまいました。
映画『サイコ』のメイキングとして、裏話なども楽しめ、もう一度『サイコ』を見直したくなるハズ。
夫婦の絆にも、感動してしまいます。
すべての映画好きに、オススメの作品です。
(小泉 浩子)