パリより愛をこめて - 渡まち子

パリより愛をこめて

© 2009 EUROPACORP - M6 FILMS – GRIVE PRODUCTIONS – APIPOULAÏ PROD

◆お約束の激しいカーチェイス、パリの裏社会の怪しげな描写、コミカルながらスタイリッシュなアクションはしっかり健在(55点)

 ハリウッドとヨーロッパの両方のテイストの不思議なブレンドが持ち味の、リュック・ベッソン印のアクション・ムービー。パリの米国大使館に勤めるリースは、エージェントとしての華やかな活躍を夢見ているのに、地味な諜報活動をこなすつまらない日々を送る新米捜査官。そんな彼が、麻薬捜査のために仏入りしたCIAの異端児ワックスとコンビを組むことに。型破りというより、ムチャクチャなワックスの捜査スタイルに唖然としながらも経験を積んでいく。そんなリースを恋人のキャロリンは優しく見守っていた。やがてリースとワックスは来仏する米政府要人の暗殺計画を突き止めるが…。

 凸凹コンビはサスペンス・アクションのお約束だが、人を撃てない見習い捜査官リースがチェスが得意の知性派であるのに対し、スキンヘッドの凄腕諜報員ワックスのはじけっぷりがすごい。有能すぎるのか、非常識なのか、はたまた単にブチこわすのが快感なのか。他国でやりたい放題の彼に米国が重なって見えるのが、ベッソン製作映画らしく皮肉が効いている。同時に、お約束の、激しいカーチェイス、パリの裏社会の怪しげな描写、コミカルながらスタイリッシュなアクションは、しっかり健在。「言うは易し行なうは難し」とはよく言ったもので、華やかなスパイ活動に憧れるリースが、ワックスとの捜査で振り回され「自分はこの仕事に向いてない…」と弱音を吐くあたりが可笑しい。捜査の過程で激しい銃撃戦が繰り広げられるが、思いがけないところにいた裏切り者を説得するクライマックスは、意外にも交渉術が中心。それでもイデオロギーのために過激な行動に出る人々を身近に感じながら生活する移民大国フランスにとっては、まんざら映画のなかの絵空事とは思えないだろう。タイトルは「007/ロシアより愛をこめて」を意識してパロッたもの。リースのファーストネームはしっかりと“ジェームズ”だったりする。心優しい捜査官リースが一回り成長したラストシーンが微笑ましい。

渡まち子

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