まるで、ストップモーションアニメの『スタンド・バイ・ミー』。少年たちの友情に感涙!(点数 85点)
(C)2012 LAIKA, Inc. All Rights Reserved.
何か特殊能力を持っていることは、必ずしも幸せではありません。
周囲から理解されず、無視されたり、いじめられたり。
果ては、危害を加えられ、迫害されたり。
人と違うって、そんなに悪いことなんでしょうか?
そんな疑問に答えてくれる作品です。
300年前に「魔女狩り」があったと言われている町ブライス・ホロー。
町民たちは恐怖を忘れ、魔女を店の看板やグッズにして、販売しているほどでした。
この町に住む11歳のノーマン(声の出演:コディ・スミット=マクフィー)は、ホラー映画や悪霊伝説が大好きな少年。
死者と話が出来る能力を持っていますが、誰にも理解されず、学校でもいじめに遭っていました。
ある日、ノーマンは、疎遠になっていたブレンダーガストおじさん(声の出演:ジョン・グッドマン)に再会し、衝撃の事実を告げられます。
「300年前に封印された魔女の魂が、もし目覚めたら、悪霊を呼び起こし、町を滅ぼしてしまう。今まで、死者と会話できる者たちが何代にもわ
たって、阻止してきた。
わしが死んだあと、お前が継がなければ、町は滅びてしまう」と。
発作を起こして死んでしまったおじさんをみて、ノーマンは、運命を受け入れることを決めますが……。
お人形を少しずつ動かして、一コマずつ撮影していくという気の遠くなるような作業を経て制作されるストップモーションアニメ。
『コララインとボタンの魔女』のアニメスタジオ・ライカの最新作は、さらに進化しました。
顔面のアニメーションがたくさんの表情を置き換えていく「交換アニメーション」になったんです。
ノーマンが薄目を開けながら、歯を磨いているシーンは、あまりにリアルで生きているかのよう。
もちろん、技術だけでなく、物語もよく出来ています。
魔女の正体に驚愕し、ニールの兄やノーマンの姉とのやりとりに思わずほくそ笑む。
いじめられながらも、けなげに生きているノーマンにまとわりつくおデブな同級生・ニールとの友情にもドキドキ。
単なるホラーではなく、少年たちの友情物語でもあるので、ストップモーションアニメの『スタンド・バイ・ミー』と、言ってもいいかも。
ラストはさわやかにウルウルですよ。
(小泉 浩子)