パラノーマル・アクティビティ - 岡本太陽

◆『ブレアウィッチ・プロジェクト』の記録が塗替えられてしまった!(65点)

 いわゆる怖いもの観たさで観る映画というものは観客の反応が面白い。一般的に、それらはホラー映画を指すが、近年ではモンスターものの『クローバーフィールド』がその部類の映画の中でも特に強烈な印象を残した。やはり手持ちのビデオカメラ撮影によるモキュメンタリー調の演出が不気味さを増幅させるのだろう、映画の上映中、観客は極度の緊張感に襲われた。

 本年度最強のダークフォース・映画『パラノーマル・アクティビティ(原題:PARANORMAL ACTIVITY)』は物語にこそ、顕著な斬新さはないが、モキュメンタリーホラーの演出をうまく取り入れ、観客にあの体験したくないが、やっぱり体験したいビクビク感を提供する。そしてこの映画はなんと全米で現在大・大・大ヒットを記録中なのだ。

 カリフォルニア州サンディエゴ郊外に住む、デイトレーダーのミカ(ミカ・スロート)と学生のケイティ(ケイティ・フェザーストン)は婚約も近いカップル。幸せそうな彼らだが、彼らの住む2階建ての家に異常が起き始める。ケイティはそれは彼女を追って来た"何か"だと言う。2人は家の中で起きる超常現象(パラノーマル・アクティビティ)の証拠を掴むためカメラで自分達を撮り始めるのだが…。

 本作の監督を務めたのはイスラエル生まれのアメリカ人オレン・ペリ。彼はこの映画をなんと約150万円程で撮り終えた。また物語の舞台となる家はペリ氏の自宅で、撮影期間はたったの7日。これは小規模中の小規模。それにも関わらず興行収入は現在で60億円を超えている。制作費と興行収入を比較した場合、これは同じく低予算でビデオカメラによって撮影された大ヒットホラー映画『ブレアウィッチ・プロジェクト』の制作費5,000万円?7,500万円で全世界での興行収入240億円を遥かに超えていることになるのだ。

 大手の映画スタジオは興味を示さず、全国公開に至までに時間を要したが、幸運にもパラマウントから配給され、スピルバーグからの「怖い!」というお墨付きを得ている本作。正体の見えない恐怖が若いカップルを翻弄する。家という空間。それは慣れ親しんだ快適な場所であると同時に、時に逃げ場のない場所に変化する事がある。『ブレアウィッチ・プロジェクト』では途方もない森が逃げ場のない場所と化したが、それに比べ、家はもっと狭く、しかしそれはもっと恐ろしい空間にもなり得る。

 家で寝ている時に配管から音が聞こえて来たという経験はあるだろうか。家の中に何かがいるとしたら…。この『パラノーマル・アクティビティ』はまさにそのアイデアを膨らませた作品だ。それは幽霊か悪魔の仕業だろうか、"何か"の活動は徐々に激しさを増してゆく。ケイティは以前にも同じ経験があったという。だから家に何かが宿っているのではなく、「何かが彼女を追ってやってきた」と彼女が言うのには納得がいく。

 モキュメンタリースタイルであっても『クローバーフィールド』の様に安っぽく見えない作品もあるが、『パラノーマル・アクティビティ』は一見チープなホームビデオ。この観るものを油断させる演出(予算的にそうなってしまった)に惑わされてしまいそうになるが、姿の見えない"何か"が起こす音による驚きがこの映画の怖さの大半を占めるため、「来るぞ来るぞ」と心構えをしておきたい。この映画は日本でもきっと当たるはず!

岡本太陽

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