血まみれだけど、せつなすぎる青春! (点数 90点)
(C)2014「パズル」製作委員会
「あたたかい」と血まみれの手を見つめながら、夏帆がつぶやくシーンに心が震えました。
出会った男女が、影響し合い、よい方向に変わっていくなら、まっとうな青春モノですが、この作品はブラックでかなり血まみれな青春です。
ある郊外の高校で、生徒の中村梓(夏帆)が屋上から飛び降りました。
その一ヶ月に奇妙なマスクをつけた集団が学校を占拠する事件が発生。
妊娠中の教師が監禁され、理事長と男子生徒らが姿を消すという不可思議な事件です。
奇跡的に命を取り留め、入院中の中村は、同級生の湯浅(野村周平)から渡された封筒の中に、事件の鍵を握るパズルのピースを発見しますが……。
『リアル鬼ごっこ』で人気の作家・山田悠介の小説を実際の事件を映画化し、かなりの物議を醸した『先生を流産させる会』の内藤瑛亮が監督しました。
中村は過去の悲惨な事件で、闇に囚われています。その闇に激しいいじめ
を受けていた湯浅が反応し、暴走していきます。
凄惨で残忍な計画に目を背けながらも、中村と湯浅の行き着くところが気になって、ドキドキします。
残酷でせつなすぎる結びつきから、目が離せません。
事件自体は絵空事めいているかもしれませんが、根幹にあるのは間違いなく、現実にも起こりうることです。
目を覆う残酷な場面よりも、人の心の恐ろしさにぞっとしてしまう作品。
だけど、ラストがめちゃくちゃせつないです。
(小泉 浩子)