◆過去の名作からの引用がちりばめられたこの4作目、クールな映像はより洗練され、登場人物は無機質になっている。絶望と戦い希望の地を目指すヒロインは相変わらず抜群に強く、ゾンビ軍団も数を増やして彼女を追い詰める。(40点)
垂直に落下しながらマシンガンをぶっ放したり、ロープを握って屋上からジャンプすると同時に爆弾が爆発したり、水平に投げたサングラスが回転しながら飛んで行ったり、犬の頭が裂けたり、波動を描きながら迫ってくる弾丸をよけたり…。まだまだ枚挙にいとまがないほど過去の名作からの引用がちりばめられたこの 4作目、クールな映像はより洗練され、登場人物は無機質になっている。絶望と戦いながら希望の地を目指すヒロインは相変わらず抜群に強く、それに伴いゾンビ軍団もより数を増やして彼女を追い詰める。
アルカディアという避難地からの無線を受信したアリスは飛行機で哨戒中に刑務所に立てこもった生存者を発見する。救出に向かうがゾンビに囲まれた建物からの脱出は困難。そんな時、クリスという元戦闘部隊の男のアイデアで武器を調達し、侵入してきたゾンビを破壊しまくる。
アリスの敵はいったい誰なのだろう。アンブレラ社、それともウェスカー? もちろんゾンビを倒すのは降りかかる火の粉を払っているだけで、決して敵とは思っていないはず。アンブレラ社も地上にあふれるゾンビどもを始末しない限りは、会社として存続できないだろう。そのあたり、ディテールを詰めているわけでもなく、ただかみつくことしか知らないゾンビどもを片っ端から撃ち殺すことで憂さ晴らしをしているよう。結果的にどのキャラクターにも深みがなく、まったく感情移入できない。まあ、もともとそんなもをの志向した作品ではないことは確かだが。唯一、巨大斧を振り回す巨人との戦いは、3Dの特性を生かした迫力が見られて楽しかった。
アルカディアはLA沖に停泊する貨物船であると教えられたアリスは、刑務所にいる生き残り全員と共に貨物船に向かう。なんとかたどり着くと、そこはウェスカーの新しい研究所。床も壁も真っ白な空間で黒を基調にした服装や武器の男女が入り乱れるというビジュアルのセンスは素晴らしいが、そこで繰り広げられる格闘には新鮮味がなかった。
(福本次郎)