ニュームーン/トワイライト・サーガ - 岡本太陽

◆女の子は積極的に噛まれたい!(60点)

 約1年前、アメリカ全土でステファニー・メイヤーの同名小説を映画化した『トワイライト?初恋?』が公開された(日本は今年4月公開)。そして封切りと共に、人間とヴァンパイアの悲恋を描くその映画は女子を中心にブームを巻き起こした。『ニュームーン/トワイライト・サーガ(原題:THE TWILIGHT SAGA: NEW MOON)』はその待望の続編。「葛藤」を全面に押し出した非常に感情的なストーリー展開で、本作はロマンティックな前作とは違う様相を見せる。

 18歳を迎えた誕生日の朝、ベラ(クリステン・スチュワート)は自分の老いた姿を夢に見てしまう。エドワード(ロバート・パティンソン)と自分が残酷な運命を背負ってしまった事で、年を重ねる事に早くも不安を覚えるベラは自分の誕生日すら憂鬱に感じる。事件はカレン家が招いたベラの誕生日パーティで起こった。開けようとしたプレゼントの包装紙で指を切ってしまうベラ。新鮮な少女の血を目の前にしたカレン家は大混乱。それを機に、エドワードをはじめ、カレン家はかわいいベラを傷つけない為にも町から姿を消す事を決意する。

 ベラはエドワードに分かれを告げられ、1人森の中を彷徨いながら消えてしまった愛しき人を捜す。警察署長のベラの父チャーリー(ビリー・バーク)は、遅くなっても家に戻らない娘を捜索するが、娘を連れて来たのは半裸のサム(チャスク・スペンサー)。ほっとしながらも、半裸男に不信な一瞥を向ける父。これはコメディ映画と同じ手法ではないか。誰だって半裸の男が娘を抱いて来たら不思議に思うし、ショックなはず。それをほぼ何事もなかったかの様に受け流す監督クリス・ワイツ(『ライラの冒険/黄金の羅針盤』)の演出。そこで、まず本作の妙な空気を感じ取る事が出来るはず。

 そして初恋の相手を失い途方に暮れるベラ。10月、11月、12月と月日が経てど、心の痛みは消えず、ベッドの中でも心が悲鳴を上げる、「ギャーーー!」。そんな傷心の彼女に優しく接するのが第1作目にもチラっと登場したジェイコブ・ブラック(テイラー・ロートナー)。ベラもいつしかジェイコブに居心地の良さを感じ始めるが、不幸は続くもので、彼にも異変が。なんとジェイコブは人狼族の1人だった事が分かり、ベラを傷つけたくない彼は彼女を突き放す。人狼とヴァンパイアと言えば、宿敵同士。種族同士の争いと恋のバトルが同時発生してしまった形だ。この輪にどんどん他の種族(半魚人とか)が加わっていってもそれはそれでアリか。

 注目は劇的に容姿が変化したテイラー・ロートナー。原作通りに肉体改造を行ったロートナーは今回裸のシーンが異様に多い。ベラが怪我をして血を流している際には、彼は着ていたTシャツを脱ぎ血を拭う。なぜ!? このまるで水戸黄門が印籠を見せる時の様な「待ってました!」と言わんばかりの観客を煽るシーンには思わず拍手。

 前作同様、『ニュームーン』ではベラとエドワードの間に、噛む噛まないの緊張感があり、特に今回はベラが執拗にエドワードに噛まれる事を望む等、登場人物が必死になればなるほど、冷静に観る側からは彼らの姿は可笑しい。そのように、故意に笑わせようとしているのか分からないが、どうしても笑ってしまうシーン目白押しなのが本作の最大の魅力だ。今回はまた演技に定評のあるマイケル・シーンやダコタ・ファニング扮するヴォルトゥーリー族というヴァンパイアの最大勢力の新キャラクターも登場し、人間、ヴァンパイア、そして人狼の恋物語は複雑になり、次回作への期待を高めてくれる。映画としての印象は第1作目よりかなり強烈で、わたし本人は『トワイライト』より『ニュームーン』派だ。

岡本太陽

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