◆なぜかいつも裸のマッチョくん(60点)
若い女性の皆さんが思い切り感情移入して楽しむファンタジック・ラブストーリーのパート2である本作は、相変わらず障害だらけの恋にイケメン&美少女が悩まされる胸キュンな展開が楽しめる。
18歳の誕生日を迎えたベラ(クリステン・スチュワート)は、普段なら楽しいバースデーを憂鬱な気分で迎えた。なにしろ恋人のヴァンパイア、エドワード(ロバート・パティンソン)は不老不死な上、外見は永遠に17歳で止まったまま。このままでは、自分だけが老いてしまう。はたしてそれでもエドワードは変わらず愛してくれるだろうか。そもそも、そんないびつな恋に自分自身が耐えられるのか。悩めるベラを支えたのは幼馴染のジェイコブ(テイラー・ロートナー)。献身的かつ積極的な彼は、やがてベラとエドワードの間に割り込んでいく。
前作「トワイライト?初恋?」で主演の二人が大ブレイクした上、私生活でも噂になっていることもあり、観客の期待と話題性は段違いの第二弾。監督が変更になったため、作風が多少変わってしまったのがやや残念。パート1の、常に雨雲に包まれどこかロマンティックな独特の作品世界は、無味乾燥な灰色世界になってしまった。
今回ヒロインのベラは、18歳にして早くも「年齢」に悩まされる。年の差に悩む恋なんて、ロマンス映画の定番ネタだが、トワイライトシリーズの場合はしゃれではすまない。なにしろ放っておけば自分だけが婆さんになってしまうのだ。たとえ18の少女だって、美貌を失うのは怖い。彼女が愛するエドワードと同じ種族になりたがるのは、当然の帰結だ。だがしかし、エドワードは様々な理由からその選択を躊躇している。
これと平行して、今回は文字通りのかませ犬が登場する。だがこの犬がなかなか魅力的なライバルで、「年下なのにマッチョで頼もしい」という、絶妙なキャラクター。好きな子の前ではあふれるテストステロンを抑えきれず、たまに狼になってしまったりするあたり、いかにもな思春期ボーイである。
しかもこの少年ときたら、どういうわけかいつも上半身裸。演じる役者が「14kgもバルクアップした」と誇らしげに語るキレのいい大胸筋を誇示しまくる。ここが赤坂の檜町公園であれば逮捕されそうなくらいの露出度だ。この肉体のインパクトがすご過ぎて、かませ犬ながら本命のエドワードを存在感で圧倒する。
これは面白くなってきた。まさに、肉食男子vs.草食男子。ベラちゃんのハートを射止めるのは果たしてどちらか?
その他のキャラクターでは、個人的にはエドワードの姉的ポジションのアリス(アシュリー・グリーン)がイチオシ。ヒロインとも仲が良く、予知能力があるためMAILER DAEMONでも心通じ合える便利メル友である。正直なところ、主役のクリステン・スチュワートより、ずっと可愛く見える。
その上、わずかな出演時間だが元名子役のダコタ・ファニングも吸血鬼王家の一人として登場。美少女から正統派美女へと変貌中の彼女は、貫禄たっぷりな演技力もあって漂う大物オーラは段違い。色々な意味で、あんまり主役を追い詰めないでほしい。
化け物相手にモテモテのベラちゃんは、今回他の男に言い寄られ陥落寸前。よその男とのキスシーンでは、「いやーん、しちゃだめー」との女子客の叫びが聞こえてくるようだ。確信的なラストシーンもたまらない。今回、ファンはきっと大喜びであろう。
アクションシーンの出来がなかなかよかったため、逆にその少なさには物足りなさが残る。また、途中エドワードがストーリーから離脱する時間が長く、その間ヒロインの「悩める少女」ぶりが続くためグダグダする。むろん、どちらもメインターゲットのティーン女子にはどうでもいいことだろう。
年下16歳の純粋マッチョボーイ(いつも裸)には、アラサー、アラフォーな熟女たちの目も輝くに違いない。2作目にして、あらゆる年代の女性ファンをかき集めるトワイライトシリーズの勢いは、まだまだ衰えそうにない。
(前田有一)