ナショナル・セキュリティ - 前田有一

◆数年後には誰も覚えていない、レディメイドアクション映画(40点)

 アメリカ映画の定番、黒人と白人二人がペアで活躍するアクション・バディ・ムービー。

 ロス市警のハンクは強盗犯との激しい銃撃戦の末、相棒を失う。犯人を逃がした彼は、やがて担当を外される。そんなある日、彼はパトロール中に挙動不審の男アールと出会う。アールは警察学校を追い出され、いまは警備会社に勤めていた。2人のやり取りはやがて口ゲンカとなり、それを“警官が黒人に暴行している”と誤解した市民の通報で、ハンクまで警察をクビになってしまう。結局ハンクも警備会社に勤め始め、独自に相棒殺しの犯人を追うが、そこでアールと思わぬ再会を果たすのだった。

 二人が刑事という設定だと、いくらなんでも芸が無さすぎると感じたか、職業を警備員にしたというのが新しいアイデアだ。とはいえ、あまりこの手の映画に新味やら特別なものを期待する人はいないから、これはこれでいい。

 設定のみにあらずアクションも平凡だが、いまどき車を並べた上を走って逃げるなんてのは、逆に古風でおもしろい。あまり笑えないギャグは、人種差別ネタが多い。病的なまでに被害妄想なこの黒人をアメリカ人なら笑えるのだろうか。このへんの感覚は想像するほかないが、ちょいとスカっと笑いにくい部分ではある。

 ハリウッドは、さすがにこうした映画作りは手馴れているから出来は決して悪くないが、いわゆる過去の雛型をもとに、役者を変えて作っただけにしか見えない。きっと数年後には、誰も覚えていないであろう一本だ。

前田有一

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