トランスポーター2 - 前田有一

3割はオバカ映画(70点)

 『トランスポーター2』は、ジェイソン・ステイサム演じる主人公の運び屋の活躍を描くアクションドラマだ。ジェイソン・ステイサムとは、元水泳飛び込みのトップアスリートで、非常に身体能力の高いアクションスター。世界一カッコイイハゲとしても(一部で)有名である。監督やアクション振り付け、また製作のリュック・ベッソンなど、主なスタッフも前作から引き継いでいる。

 ブラックスーツに身を包み、ドイツ製の黒い大型セダン(前回はメルセデス、今回はアウディ)を自在に駆る、クールな主人公の運び屋(J・ステイサム)。最近の彼は、危険な仕事から足を洗い、ある金持ちの一人息子である少年の運転手をしていた。少年やその美しい母と、徐々に心通わせつつあった彼は、この仕事を大いに気に入っていた。ところがある日、明らかにプロ集団と見られる連中に少年を誘拐されてしまう。

 さて、自分に厳しいルールを課し、完璧に仕事をこなすことが身上の主人公。人一倍プライドの高い彼が、プロの威信を傷つけられたわけだからさあ大変。改造を施したAudi A8 で爆走し、どこまでも犯人を追いかける。

 このパート2のアクションシーンは、おおむねカッコイイが、約3割はオバカである。CGバレバレの飛行機を堂々と見せていたり、その墜落中に機内で格闘アクションを繰り広げたりなど、実現性やリアリティなど、はなから無視した豪快さが随所に見受けられる。ジェイソン・ステイサムの大まじめな雰囲気とのギャップがあまりに激しくて、最初は違和感を感じるが、徐々にこれがクセになる。不思議な魅力をもつ、オバカアクション映画だ。思いついたアイデアをどんどん試し、取り込んでいくような、気持ちのよいチャレンジ精神を感じられる。

 ストーリーもハチャメチャだが、ツッコミ無用。主演俳優はもちろん、アウディ、ハマー、ポルシェといったクルマのかっこよさと、文字通りノンストップな見せ場の数々を楽しめばいい。一切ダレはなく、88分間、存分にサービスしてくれる。

 なんと言っても、本作のアクション監督は、「ロミオ・マスト・ダイ」や「キス・オブ・ザ・ドラゴン」といった作品で知られるコーリー・ユンだから、アイデアも振り付けも抜群。動くのも、スタントマンいらずのアクション俳優であるジェイソンであるから、見ごたえ十分だ。

 『トランスポーター2』は、ノーテンキなデートムービーとして最適な一本。ジェイソン・ステイサムが好きなら、間違いなく大満足できる。逆に彼を嫌いなら、30点程度の満足度かもしれない。そういう意味では、向き不向きがわかりやすい作品といえる。

前田有一

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