尻すぼみの感は否めない。(点数 40点)
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教会の影響力は絶大で聖職者の言葉は絶対的な重みを持っていた時代、
異教徒は虐殺の対象となる。だが、非力な女子供の命まで奪ってしま
う“聖戦”に疑問を抱いた戦士は悪魔と戦う旅に出る。映画は、そん
なふたりの騎士が“魔女”と疑われた少女を移送する過程で様々な試
練を乗り越え、本当の敵を打ち負かすまでを追う。ところが、そこで
描かれる世界観は安っぽく、映像表現も緊張や驚きとはほど遠く生ぬ
るい。物語の構成も直線的で、彼らが遭遇する危機も手に汗握るほど
でもない。結局、何を見せたかったのかよくわからない作品だった。
【ネタバレ注意】
十字軍に参加したベイメンとフェルソンは戦に倦み戦列を離れる。流
れ着いた小さな町で、ふたりはペスト流行の原因とされる魔女の嫌疑
いをかけられた少女を、人里離れた修道院に運ぶよう命じられる。
少女を乗せた馬車には彼らのほかに神父と騎士、ガイドと少年が付き
添い、一行は険しい山に入っていく。それぞれ少女に対する思惑を胸
に秘めている風に見えるが、人物の造形が浅いために誰にも感情移入
は不可能。道中唯一の見せ場となるつり橋のシーンも、ほとんどひね
りがなく、ただビクビクしながら渡るのみ。少女の腕力が尋常ではな
いことは証明されたが、彼女の謎めいた言動だけでは後半に興味をつ
なぐのは難しい。
魔女裁判と蘇った絞首死体が神父を襲うプロローグは後の展開を期待
させるおぞましさを内包していただけに、尻すぼみの感は否めない。
(福本次郎)