ディセント2 - 福本次郎

◆悲惨な死がサスペンスを盛り上げ、洞窟の閉塞感と迷路のような暗闇で奮い立たせる勇気、逃げ場がなくなり死が待つだけの絶望感、恐怖に立ち向かう過程で人間のエゴと生存本能、自己犠牲の精神が混然一体となって描かれる。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 その正体が最初からわかっていながら見ているので、この続編は「いつ、どんな形でそれが姿を現すのか」という点が最初の楽しみ。そして、何の知識も持たない新しいキャラクターを登場させ、彼らが悲惨な死を遂げるうちにサスペンスを盛り上げる手法はここでも健在。洞窟の閉塞感と迷路のような暗闇で奮い立たせる勇気、逃げ場がなくなり死が待つだけの絶望感、迫りくる恐怖に立ち向かう過程で人間のエゴと生存本能、自己犠牲の精神が混然一体となって描かれる。

 地底人の洞窟から1人生き延びたサラは記憶を失う。残りのメンバーを救出するために結成された捜索隊に、サラも参加させられるうちに、徐々に忌まわしい過去を思い出す。やがて現れた地底人に捜索隊のメンバーは一人また一人と餌食になっていく。

 匂いを追跡する獰猛な警察犬が地下坑の入り口から一目散で逃げていくシーンだけで、捜索隊に待ち受ける不吉な運命を予感させ、腹部を食い荒らされた女の死体の口からネズミがはい出す場面で血なまぐささを実感させる導入部は、「エイリアン2」を思い出させるシャープな切り口だ。また、地底人に首筋に噛みつかれて血しぶきを上げながら捜索隊員が絶命したり、逆に岩に押しつぶされたり頭にドリルを押しつけられたりと地底人の殺され方もより残虐になって、それらのアイデアの数々がある時は予想通りだったりある時は期待外れだったりと、まったく予断を許さない。このあたり編集法が非常に洗練されていて、スクリーンから目が離せない。

 その後、洞窟で死んだはずのジュノが生きていたり保安官の功名心から一行が危機になったりしながらも、生存者たちは地上への出口に向かう。そこで、地底人たちが大型のシカを捕まえて食べているのだが、目の見えない彼らがどうして地上でハンティングできるのか疑問。しかも昼間に。あと、何とか脱出したリオスが森で方向感覚を失い、冒頭でサラが救いを求めたエドというおっさんに殴られるが、このエドとはいったい何者なのか。もしかしてPart3への伏線???

福本次郎

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