ちょっと変わった戦争映画を観たいという方にオススメの一作(点数 70点)
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安全な戦争体験ツアーに参加した大富豪たちと彼らを保護する元アメリカ軍特殊部隊の傭兵が実際の戦争に巻き込まれてしまうというサバイバル系ミリタリー・アクションで監督はマキシム・コロスティシェフキー。
まずは、負傷することなく安全な戦争が体験できるツアーというのがユニークだ。
続いて、軍人ではない一般市民である大富豪たちがホンモノの戦争に巻き込まれて参戦せざるをえなくなるというのが新趣向であり、従来の戦争映画、コマンド系アクションとは一線を画した作風に仕上げることに成功している。
ツアーに参加する大富豪たちのキャラクター設定をしっかりとなされており、個性を描いたことが面白さを引き立てている。
ジェームズ・クロムウェル、ショーン・ビーン、ヴィング・レイムスといったいぶし銀系役者が扮し、観る者に存在感をアピールしている。
そして、そんな大富豪たちを守りながら戦争体験を指導する主人公クレイグをクリスチャン・スレイターが演じ、アクションシーンでも身体を張って大活躍する。
劇中で観られる戦争体験ツアーの中には、当然の如く訓練シーンもしっかりと描かれており、これに取り組む参加者たちの様子が興味深いが、練習中に携帯電話が鳴ってついつい出てしまうといったシーンには笑えると同時に呆れてしまう。
戦争体験プログラムの眼目である実地体験としてある島へ武器を輸送するべくボートで移動中にルポ大佐率いる武装組織からの攻撃を食らい、ここから物語が本格化する。
戦争映画ならではの大爆破シーンや銃撃シーンを惜しみなく描き、観る者をとことん楽しませてくれる。
船は爆破炎上するし、戦車が大砲をブッ放して周囲が爆炎を上げ、銃弾がこれでもかと言わんばかりに炸裂し、人々は銃弾に倒れ込むは爆風で吹っ飛ぶは…アクション演出が予想以上に強化されているため、戦争映画ファンやアクション映画ファンにとってはその面白さを汲み取れることは確かだ。
クライマックスは派手な爆破シーンや銃撃戦に加え、クレイグと敵がそれぞれナイフを片手に持って繰り広げる格闘アクションが描かれ、水上オートバイでのチェイスシーンで観る者をとことん楽しませてくれる。
ちょっと変わった戦争映画を観たいという方にオススメの一作だと断言したい。
(佐々木貴之)