ソフトボーイ - 渡まち子

ソフトボーイ

© 2010「ソフトボーイ」製作委員会

◆その場の気分で周囲を巻き込み、何の計画もないノグチのキャラに、なぜか周囲が魅せられてついていくのが面白い(55点)

 不純な動機で始めたソフトボールがいつしか若者たちを夢中にさせていく、さわやかな青春エンタメ・ムービーだ。佐賀県のとある高校で最後の夏を迎えようとしていたオニツカは、仏料理のシェフになるのが夢。しかし、家業は中華料理やで自らの進路に悩んでいる。そんな時、幼なじみのノグチが「県内には男子ソフトボールが一校もない。部を作れば、ソク全国大会。俺たちはヒーローだ!」と言い出す。オニツカを強引に誘い部員集めに奔走するが、何とか集まった9人はキャッチボールも満足にできない素人集団だった…。

 佐賀県の高校での実話をベースにしたこの物語は、冷静な主人公オニツカと、ノリが勝負のノグチの凸凹コンビの漫才のようで楽しめる。男女比1:9というその高校は、料理や裁縫など、家庭科の専門高校で、生徒はシェフやデザイナーなどを目指し将来のことを見越して学んでいる。現実的な高校生活を送る彼らが、ヒーローになってモテタイ! と不純かつ直情的に思うのは、自分の進路がほぼ決まっている中で、何か新しい可能性を見出したいとの思いがあるのだろう。その場の気分で周囲を巻き込み、何の計画もないノグチのキャラに、なぜか周囲が魅せられてついていくのが面白い。こんな人物になりたいと思っても普通はなかなかなれないものだが、何はともあれ挑戦! というノグチの姿勢は、青春の本来あるべき姿に思える。ただ、寄せ集めの部員は個性的だが、残念ながらあまり魅力はない。高校生なのに恋愛要素があまりに少ないのもマイナスだ。だが、この物語には最後にちょっとした“驚き”が仕込まれている。そのことが分かって初めてノグチがいう「やってみなければわからない」という言葉の大切さが身に染みるのだ。永山絢斗や賀来賢人ら、若手俳優たちが躍動している。

渡まち子

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