セブン・ソード - 前田有一

完全に消化不良の長大映画(20点)

 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズの、ツイ・ハーク監督得意のジャンルである武侠アクション大作。

 清王朝建国直後の中国大陸。清朝は、“禁武令”を発し、武術家たちを次々と処刑していった。その圧政に反抗したある達人は、凄腕の若き2名とともに伝説の刀匠・晴明大師が住む神秘の山へと向かう。そこで腕利きの弟子4名が加わり7名となった彼らは、さらに特殊な7本の剣を預けてもらい、清の大軍に対し立ち上がるのだった。

 なんとも、無駄に長い映画である。153分もの上映時間があるのに、物語の焦点がまったく定まっておらず、非常に疲れる。大勢の登場人物を掘り下げたい(けど、どこから手をつけたらいいのかわからない……)、7本の秘剣の魅力と能力をアピールしたい(けどどこから手をつけたら……)というような、作り手の迷いを感じてしまう。

 アクションは期待するほど多くなく、かといってドラマが面白いわけでもない。武侠ものの雰囲気が大好きな人ならそうでもないのかもしれないが、私にとっては退屈このうえない一本であった。

 アクションはもちろん、剣によるものがメインとなるが、ワイヤーワークは目立たない程度にしか使われていないから、かなり地味だ。お金のかかった映画だというが、全体的なムードはやたらと砂っぽく、スケール感もあまり感じられない。

 それにしても、中国という国は興味深い。何しろこうした娯楽映画において、“禁武令”などという残酷この上ない設定を平然と使えるのだから。なんたってコレ、武術を習ったことがあるというだけで皆殺しなのである。こんな設定がリアリティを持つ国は、この国をおいてほかにない。おそろしや、おそろしや。

 また、この映画会社のワーナーの宣伝文句のぶっ飛び具合も相当なものだ。「『HERO』も、『LOVERS』も、この作品の登場を待つための壮大なプロローグに過ぎなかった」とは、ずいぶんと大きく出たものである。やけっぱちになった大手企業ほど怖いものはない。

 念のため補足しておくが、前二者と本作では、完成度において比べるべくもない差がある。というより、確かに大まかなジャンルは武侠でくくれるかもしれないが、まったく別タイプの作品だと思っておいたほうがいい。ああいう、ドラマチックな映像美や壮大な物語を期待していくと、それは裏切られる。しかし、かといって何を期待していけばいいのかと問われても、私には責任が持てる答えを見出せそうもない。

前田有一

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