四つどもえのコカイン争奪戦! ノアールとアクションの融合が見事です。(点数 85点)
(C)Chic Films – PTD – Saga Film
実生活では、殴ったり、殴られたりする機会は少ないから、(あったら怖いけど)、テンポのいいアクションものって、好き。
実生活では、シンプルな方がいいけれど、映画は細かく伏線が張られ、大どんでん返しの数々が好き。
ダブルのアイスクリームみたいに、そんなふたつの要素が楽しめるのが、本作です。
車が襲われ、大量のコカインが強奪されます。犯人は、なんと! ふたりの刑事。
ドラッグの転売を企んだ犯行でしたが、首謀者の刑事・ヴァンサン (トメル・シスレー)は、腹部を刺され、傷を負ってしまいます。
その直後、別れた妻から「一人息子のトマと連絡がとれない」という電話が入って……。
早くもハリウッドリメイクが決定したノンストップ・アクションです。
冒頭から、ガンガン飛ばします。しかも、ノアール風味がたまりません。
ヴァンサンの素性がばれ、コカインの持ち主であるマフィアにトマを人質としてとられます。
交換条件は、コカインの入ったバッグを返すこと。
ヴァンサンは、マフィアが経営するクラブへ向かいます。
ほとんどがクラブでの追いかけっこであり、だましうちや撃ち合い、殴り合いです。
閉ざされた空間でのアクションに次ぐアクション。しかも、テンポがいいから、息つく暇も無いくらい、ドキドキします。
コカインを盗まれたマフィア。マフィアとコカインの取引をしようとしていた別のマフィア。
ヴァンサンを尾行していた女性麻薬捜査官。
それらが、ヴァンサンを追ってきます。三つどもえならぬ、四つどもえです。
客でひしめいているクラブという限られた場所で、いかに相手を出し抜き、無事に息子を救出するのか。
家庭を顧みなかっため、息子とはうまくいっていないヴァンサンが、ケガの痛みに耐え、息子を取り戻すために、頑張る姿が心を打ちます。
父さん、けなげです。
ヴァンサンと一緒に眠れない一夜を過ごしているかのようで、心地よい疲れで迎えるラストでは、ほっとするハズ。
アクション大好きで、どんでん返しが好きな方に、特にお薦めです。
(小泉 浩子)