シーサイドモーテル - 渡まち子

◆他の部屋の人物との関係性に面白味が薄いので、普通のオムニバス映画といった印象(50点)

 豪華キャストのアンサンブル・ストーリーだが、4つの話の絡み具合が物足りない。辺ぴな山奥にあるモーテルに、偶然11人の男女が集まる。4部屋それぞれの密室で繰り広げられるのは、予測不可能なドタバタ劇だ。インチキ美容クリームを扱うセールスマン亀田と三十路前のコールガールのキャンディの騙し合い。3,000万円の借金から逃げてモーテルに隠れるギャンブラーの朝倉と恋人の留衣の部屋にはヤクザが取立てにやってきてヤキを入れる。マンネリ気味の社長夫婦に、お目当てのキャバクラ嬢を連れ込んだ常連客も。ワケアリの男女が繰り広げる運命の一夜は、はたしてどんな朝を迎えるのか?!

 アンサンブル・ストーリーはバラバラの物語がいかに調和していくかが最大の楽しみだが、本作はアンサンブル(合奏)というよりソロ(独奏)に近い。窓の外を通過したり、TVに写ったりはするが、他の部屋の人物との関係性に面白味が薄いので、普通のオムニバス映画といった印象だ。ひとつひとつは決して悪くはない。ロマンス担当の生田斗真と麻生久美子は美男美女ながらどこかコミカルだし、詐欺師とヤクザのハイテンションな勝負には、山田孝之と玉山鉄二の二人がブッ飛んだやりとりを見せる。古田新太の女装姿というトンデモないオマケまである。恋、仕事、金、人生。海もないのに「シーサイドモーテル」と名付けられたその場所にふさわしく、彼らのやりとりにはフェイク(にせもの)がたっぷりつまっているが、偽物の中から生まれる本物もあるということか。その証拠にドン詰まりのギャンブラー朝倉には「インチキでもさ、いつか本物になる日がくるんだよ」とのセリフがある。まぁ、この映画が“本物”かどうかは甚だ疑問だが。タランティーノの「フォー・ルームス」の濃厚な味には遠く及ばないが、豪華キャストを楽しむにはいいだろう。

渡まち子

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