ゴモラ - 岡本太陽

◆カンヌ映画祭グランプリ受賞、イタリア新興マフィア・カモーラの実態を暴く衝撃作!(80点)

 マフィア映画と聞くと、フランシス・フォード・コッポラ監督作『ゴッドファザー』の様な身なりの基調は黒でおしゃれなイメージがあり、格好いいとさえ感じさせられるだろう。しかし、イタリア映画『ゴモラ(英題:GOMORRAH)(原題:GOMORRA)』は違う。この映画に登場するイタリア新興マフィア「カモーラ」の連中は皆カジュアルな服を着ており、マナーもない。彼らにはドラッグや武器、金のためなら何でもするという野蛮な日常があるだけだ。

 『ゴモラ』の監督を務めるのはイタリア人映画監督マッテオ・ガローネ。彼は本作をカンヌ国際映画祭グランプリへ導いた(パルム・ドールに次ぐ2等賞)。本作にはロベルト・サヴィアーノ著『死都ゴモラ』という原作本があり、この本はカモーラの実態を暴きヨーロッパに衝撃を走らせた。不幸にもこれによりサヴィアーノ氏はカモーラから命を狙われてしまう事となり(実際に殺害予告を受けている)、イタリアは住めなくなってしまった。

 カモーラの特徴は人数が多いということ。組織と何らかの関わりのある家の12歳から17歳の少年ですら組員にさせられてしまうのだ。映画でも組織加入の儀式が描かれ、少年達は分厚い防弾チョッキを着させられ、一人ひとり銃弾を胸や腹に撃ち込まれる。それを通過したものはカモーラの兵士となるのだ。子供を利用するメリットは警察の目から逃れ易いということ。また賃金も安く済み、彼らは麻薬を運ばせる等の比較的簡単な仕事が与えられる。

 『ゴモラ』はカモーラが関与している5つの物語によって構成されている。組員の家族に金を届ける中年の男性ドン・チロ(ジャンフェリーチェ・インパラート)、この先に何が待っているのか知らずにカモーラに仲間入りすることに憧れる13歳少年トト(サルヴァトーレ・アブルッツェーゼ)、カモーラの管理下にある工場で働く高級ドレスの仕立屋パスカル(サルヴァトーレ・カンタルーポ)、有毒廃棄物用の埋め立て地を管理する男ロベルト(カルミネ・パテルノスタル)とそのアシスタント・フランコ(トニー・セルヴィッロ)、そしてカモーラが隠す武器の在処を盗み見するギャングスターになりたいティーンエイジャー、マルコとチロ(マルコ・マコール&チロ・ペトローネ)。彼らが織りなす5つのストーリーが衝撃的な1つの映画を生み出す。またスカーレット・ヨハンソンが興味深い形でカメオ出演している点にも注目だ。

 カモーラに関係すると死は限りなく近くに迫る。それは女であれ子供であれ関係ない。カモーラの組員が銃を持って人を殺害する場合、彼らは多くの場合頭を狙う。それがカモーラ流であり、彼らは野蛮だが実に組織化された集団である事が伺える。またこの映画には拳銃の引き金を引くことを躊躇うシーンや人の死に対し涙する等のシーンは存在しない。ドラマチックな要素を排除し利益優先のカモーラをリアルに描いている。

 そしてこの映画は多くの人にフェルナンド・メイレレスの『シティ・オブ・ゴッド』を思い出させるだろう。しかし、リオデジャネイロに住むストリートチルドレン達の抗争をスタイリッシュに描いたメイレレス監督作とは違い、『ゴモラ』の映像は実にシンプル。格好いい映像は出て来ず、自然な撮影方法でナポリに住む人々の日常を映し出しており、作品には生活感が溢れている。

 カモーラの管理下で生まれた者達はカモーラに関わる事から逃れられない。カモーラの一員となることは彼らにとってごく自然なことであり、それ以外彼らには選択肢がないのだ。死と隣り合わせという刹那の中で生きる彼らの世界は平和な毎日を送っているわたしたちには到底知る事が出来ないだろう。『ゴモラ』は人間の闇をこれでもかと見せつけ、わたしたちに不安を抱かせる力強い映画である。

岡本太陽

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