◆頭を空っぽにしてただコレを存分に楽しむだけで良い(75点)
“オシリーナ”の愛称で知られる人気グラビア・アイドルの秋山莉奈を主演に迎えたバイオレンス系アクション・ホラー。様々な作品でアクション監督を務めた小原剛の『芸者VS忍者』に続く監督第二弾作品。
時は20XX年。ユキは父・次郎(柳憂怜)と母・カヤコ(中島史恵)と三人で幸せな生活を送っていた。だが、ユキの誕生日に黒マントに身を包んだ謎の凄腕殺し屋五人組が突如現れ、三人を襲撃。次郎は脚の自由を奪われて車椅子生活の身となり、カヤコは惨殺されてしまった。ユキは母の仇を討つべく復讐の鬼と化し、ゴスロリファッションに身を包み、先端部に鋭利な刃物を装着した特殊な傘(さらにマシンガンやドリルの機能も!!)を武器に五人組を一人ずつ処刑していく。
ユキが五人を一人ずつブッ殺していく様子をハードな格闘バトル・アクションと両腕と頭部がスッ飛んで血飛沫溢れるスプラッター(特殊造形監督の西村喜廣、今回もズバ抜けている!!)満載でじっくりと描かれているのが大きな特徴。しかも、ストーリーは簡素化されている。だから、頭を空っぽにしてただコレを存分に楽しむだけで良いのだ!!
五人のキャラクターをしっかりと確立させている点は素晴らしい。かつてのヤクザ映画でよく観られた女壷振師の咲慧(佃井皆美)、超能力者ユリ・ゲラーをまんまもじったユリゲラ夫(岡本正仁)、「自分は一切殺していない、金で雇われて家の扉を開けただけ」と泣きながら謝り倒すナイトウォッチ(白善哲)、ギャル女子高生のレディ・エル(桃瀬美咲)、ラスボスであるキザなイケメンのマサト(青柳塁斗)というようにとにかく個性的で面白い。
中でも二丁拳銃で弾丸をこれでもかと言わんばかりにブッ放すレディ・エルが、『M:i,2』のトム・クルーズを彷彿とさせてみたり、ユキの傘から発射された弾丸を上体を反らしてかわす『マトリックス』風といったハリウッド大作アクションのオマージュ、パロディーは微笑ましい限りだ。なおかつ、ユキとの壮絶バトルに関しても一番面白さを感じさせ、その出来栄えに関しては合格点に達していると言い切りたいほどだ。
他にも外国人アクロバット・パフォーマンス集団“Team2X”の学ラン姿のヤンキー“KAMIKAZE”とユキのダイナミックなバトルも見応え十分。その上、彼らの日本語も笑わせてくれるので倍の面白さを感じられるのだ!!
ユキとマサトとの決戦を描くクライマックスでは、かなり驚くべきモノを観てしまう。しかも、これぞマンガ、アニメ、ゲームの世界だと思えてしまうようなモノだ!! 本作のホラー映画としてのテイストが最大限に発揮されるこのシーン、とにかく要注目だ!!
B級映画らしさを存分に感じられる本作。ツッコミ所もそれなりに観られるが、これにゴチャゴチャと屁理屈を並べたら負けだ!! 「何でやねん!!」とお笑いのツッコミ役になって楽しめば文句を言わずに楽しめるのだ!!
(佐々木貴之)