善意や好意が必ずしも「正しい行い」と受け取られるわけではなく、物語はそれらの人々の「良心の質」を問う。(点数 70点)
(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
世界の崩壊が迫っているとき、人は何をなすべきか。科学者としての
責任感から対処法を見つけようとする者、現場に出て指揮を執る者、
自らの信念に基づいて治療法を公開する者。ほとんどの人々は良識を
持ってこの危機を乗り越えようとするが、一方で知人を助けると他者
を犠牲にしなければならない。善意や好意が必ずしも「正しい行い」
と受け取られるわけではなく、物語はそれらの人々の「良心の質」を
問う。ウイルスの幾何級数的な広がりの速さと死の恐怖が伝播する様
子が緊迫感あふれる映像で描かれる。
【ネタバレ注意】
香港出張からミネアポリスの自宅に帰ったベスは、突然痙攣・発熱し
急死する。アジアや欧州でも同じ症状の患者が急増、米当局とWHOが対
策本部を設置、感染源の究明とワクチンの開発を急ぐ。
いち早く感染症を見抜いたWEB記者のアランは独自に特効薬を見つけブ
ログにアップ、ネット上で話題になり、ウイルスよりも早く巷間に流
布していく。さらに彼のもとには情報が集まり、当局の対応のまずさ
を批判し身内を優遇した責任者を糾弾する。アランは決してジャーナ
リストの正義感だけで活動しているのではないが、危険に飛び込む勇
気は功名心だけではないだろう。
他人に働きかければ少なくとも現状に何らかの変化が起こるはず、映
画はエモーショナルを排して彼らの姿を描写することで、己の価値観
に従って行動する覚悟を見る者に突きつけているのだ。
(福本次郎)