クロエ - 中野 豊

夫のケータイmailをチラ見した妻の疑心暗鬼が引き金となって、ある女の人生を狂わせてしまう恐ろしくも悲しい愛憎劇。(点数 80点)


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倦怠期に入った夫婦間の「疑惑」によって、一家の輪がねじれていきます。

偽りの裂け目から本当の感情が顔を出す恐ろしさを描出する氷のように冷たい映画ですが、性別・年齢・職業・身内他人問わずに人を愛する素晴らしさもまた感じさせてくれます。

カナダの大都市・トロントの高級ショップが並ぶ通りに産婦人科クリニックを開業しているキャサリン(ジュリアン・ムーア)は、大学教授の夫デビッド(リーアム・ニーソン)、一人息子マイケル(マックス・シエリオット)と郊外の大邸宅に住んでいます。

夫デビッドの誕生日にキャサリンはサプライズパーティを計画。
友人たちが邸宅に集まっていた時、当のデビッドから飛行機に乗り遅れたので深夜に帰宅すると連絡が入るのです。

主役の居ないパーティが終わった翌朝、夫の携帯メールの着信に気がついたキャサリンが見たものは「ゆうべはありがとう。ミランダより」と添えられたツーショット画像でした。

夫が浮気をしているのだろうと疑ったキャサリンは、ある夜、レストランのトイレで会話し「あなたの物ですか?」と言って髪飾りを差し出してきた若い娼婦クロエに、デビッドを誘惑し、行動を報告するように依頼するのです……。

導入から、昼メロチックに疑惑策謀渦巻く・官能サスペンスな展開ですが、心理描写が秀逸。
ドラマ中盤~キャサリンの想定ストーリーが逸脱していきます。
人の心根は証言・状況証拠だけではわかりません。

アトム・エゴヤン監督(『スウィート ヒサアフター』(1997年)など)がインタビューで「他者の思惑など操ることなどできない。(中略)
キャサリンは次第に深みにはまってしまう。二人の女性(キャサリン&クロエ)の関係は複雑なものになっていき、予期せぬ結末を導きだしてしまう。
僕の映画はすべて、人間が人生を考えなおす過程を描いているが、この映画は、空想が人をどう変えていくのかの検証でもある」と話しています。
ラスト数分 涙を堪えることはできません。
ある愛の物語は想像を超えた痛みを伴います。救いは‘髪飾り’のワンショットでした。
■2009年 カナダ=フランス=アメリカ映画/上映時間:96分/監督:アトム・エゴヤン/出演:ジュリアン・ムーア、リーアム・ニーソン、アマンダ・セイフライド ほか/オフィシャルサイト:http://www.chloe-movie.jp/

中野 豊

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