クレーマー case2 - 前田有一

会社の屋上から自殺するクレーマーの恐怖(20点)

 同日公開のクレーマーシリーズ第二弾。同じ製菓会社の同じお客様相談室で、別の人物が主人公となる。なるほどこれなら新セットを組む必要が無く、製作費確保に四苦八苦するプロデューサーにも環境にもやさしい。同じ会社なのに、前回と違う人物が席に座っているのは、えも知れぬ不気味さを感じさせるという効果もある。果たしてこれは過去なのか、未来なのか。

 ある製菓会社のお客様相談室。クレーム処理担当の宮田夏美(小野真弓)は、「流産したのはオタクのペットボトル飲料のせい」とわめく女からの苦情電話を受ける。自身も5歳の息子を抱えるシングルマザーである夏美は同情するが、会社側は一切の因果関係を認めなかった。

 さて、この後は女クレーマーの恐怖の反撃が始まるのかと思いきや、予想外の展開を見せる。なんと会社の屋上から、見知らぬ女が流産を苦に飛び降り自殺するのだ。コイツが電話の主なのか?!

 あらすじからわかるとおり、今回の主人公は女。クレーマーも女である。しかし映画のジャンルは前作同様のサスペンスでなくホラー。死んだはずの女がうらめしやをする、怨霊ものとなっている。作り手にしてみれば、同じ題材で同じ話にするのはためらわれたのか、しかしこれはあまりにも奇手だ。激しい変化球はストライクをとるのが難しい。暴投にならねば良いのだが。

 だが、そんな私の危惧どおり、『case2』はどうにも中途半端な作品になってしまった。いわば、本来サスペンスかスリラーにすべき食材を、無理やりホラーに料理したかのよう。ただ唯一、電話ボックスに人が消えるシュールなシーンについては、印象に残るものがあった。

 おっかない幽霊女は、見た目は美人風なのに声は野太い男のそれ。そんな気味悪い生き物(しかも血まみれ)と夜道で遭遇しながら「なんだか心配だから送っていきましょうか?」などといえるヒロインは、人類最強の度胸を持つ女である。

 このシリーズの監督さんはちょいと世間知らずなのか、前作と共に「それは無いよ」的な非現実的描写が多い。それもホラー部分でなく、前半の企業ドラマに、である。あるいはこうした荒さは、短期間で二本分の仕事をしなければならなかった弊害なのかもしれないが。

 いずれにせよ、魅力的な題材ではあったがまだまだ生焼け。ちょっぴり老けてきた小野真弓を見つめながら、いたたまれない気持ちになる今日この頃である。

前田有一

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