キル・ビル vol.2 ザ・ラブ・ストーリー - 前田有一

前作の出がらし(40点)

 数々の仁侠映画やカンフー映画等の要素をごた混ぜにして、独特の世界観を確立した日本刀アクション『キル・ビル』の続編。前後編の後編にあたり、とりあえず本作でストーリーは完結する。(15年後にPart3を作るという噂もある)

 さて、突然だがみなさんは『キル・ビル』の後編に、何を期待するだろう? 見たこともない斬新で派手なアクション? パロディ満載のオバカな笑い? 前作で残された謎の解明? まあ、主にそんなところではないかと私は想像する。この後編では話が完結するため、確かに最後の要求は満たされる。だが、笑いやアクションは前作比80%減だ。

 最初からこれ一本を見るのであれば、それなりに監督の個性がにじみでた映画であり、満足できるかもしれない。だが、あれだけの前作を見た後、「あれを超えるクールなやつを見せてくれ!」と思っているファンがこれを見たら、多かれ少なかれガッカリするはず。個人的にはこれでもいいのだが、アクションのない『キル・ビル』を許せないという人は多いのではないか。そんなわけでこの点数となった。

 アクションが少ないといったが、それにしても本当に少ない。バッサバッサと敵を切り倒していた前作のような見せ場は皆無で、いわゆる中ボスらとの戦いもあっけなく終わる。前作ではさほど感じなかったが、主演女優の動きの悪さ、アクションの下手さも目立っている。

 舞台が日本から離れたから、もうあのヘンテコな日本語を聞くこともない。日本人のキャストもほとんど顔を見せない。監督独特の遊び心というか、笑いを取るトコも今回は安直にすぎ、観客の反応も鈍いものだった。

 肝心の結末部分も、わざわざ一本の映画を前後編に分けて引っ張った割には拍子抜けといった印象。もし、このダラダラした後編があの前編の後にくっついて公開されていたら、評価もずいぶんと変わっていただろう。そう言う意味では商売上手ともいえる。

 そんなわけで、この後編を見る場合は、アクションと笑いには一切期待せずに行った方がよい。もう前作とはまったく違う映画なのだ、世界観だけが共通している別ジャンルの映画なのだ、と覚悟するくらいでちょうど良い。過大な期待をしなければ、相対的に満足度も上がるというもの。なお、前作の事前の鑑賞は必須なので念のため。

前田有一

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