キス・キス,バン・バン - 前田有一

不謹慎なギャグに爆笑できる探偵映画(70点)

 『リーサル・ウェポン』や『ラスト・アクション・ヒーロー』の脚本家として知られ、俳優もこなすシェーン・ブラックが、はじめて監督したアクションコメディ。プロデューサーはハリウッド有数のヒットメーカー、『マトリックス』シリーズで知られるジョエル・シルヴァーだ。

 主人公はへっぽこな泥棒(ロバート・ダウニー・Jr)で、彼は逃亡中、偶然映画のオーディション会場に逃げ込んでしまう。迫真の演技(実はただの地)で合格した彼は、見事に探偵役をゲットする。そして本物のハードボイルドな私立探偵(ヴァル・キルマー)と、役作りのため共に行動することになるのだった。

 この探偵、こわ持てな見た目とは裏腹にゲイ。しかし、腕は一流という、あらゆる意味で怖い男。ふがいない主人公とのコンビが笑いを生む。彼らに、主人公の幼馴染で今は女優を目指している女の子(ミシェル・モナハン)が加わるころ、3人はロサンゼルスである事件に巻き込まれる。

 アクションはほどほどで、メインの見所は謎解きミステリ要素とギャグだ。とくに笑いに関しては、どれもどぎついブラックなものばかり。そこまでして笑いを取るか、というほど不謹慎なネタ多数だ。ハダカ関連(ヒロインの子はスレンダーでとても綺麗)はともかく、死体をつかったギャグなどは、引く人が多そうだ。ここは、倫理観をoffにして観る事をすすめたい。

 英語の言葉遊びに関してだけは、いっしょに見た外人がゲラゲラ笑っていたものの、日本人にはわかりにくいところだが、それ以外は誰でも単純に爆笑できるものばかり。メイン3人のキャラクターが立っているので、意外なほど楽しめる。

 『キス・キス・バン・バン』は、腹が痛くなるほど笑って、ちょいとわかりにくいが謎解きに挑戦して、プロポーション抜群のブロンド美女の裸が見れて、最後にちょっとアクションも見られるという、ハリウッドらしい娯楽の詰め合わせだ。

 30代くらいの、やや大人向けな内容だが、上記のような作品が好きな方には、充分にすすめられるレベルの一本といえる。

前田有一

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