天才の素顔は、かなりせつない!(点数 90点)
(C)WY productions – SND – Cinefrance 1888 – Herodiade – Umedia
天才を愛するというのは、どんな気持ちなのでしょうか?
そして天才からも愛され、その人を己の人生をかけてサポートしていく。
涙があふれるような幸福なのでしょうか?
涙が涸れるような不幸なのでしょうか?
その答えがこの作品なのかもしれません。
1957年のパリ。
21歳の若さで、故クリスチャン・ディオールの後を継いだイヴ・サンローラン(ピエール・ニネ)が、初めてのコレクションを大成功させて、華々しいデビューを果たします。
芸術家を後援していた26歳のピエール・ベルジェ(ギョーム・ガリエ ンヌ)は、友人の紹介でイヴと出会い、すぐに恋におちました。
イヴの才能に心酔したピエールは、彼の繊細な心を守ると決意し、ディ オール社とのトラブルも一手に引き受け、資金集めに奔走してイヴ・サ ンローラン社を設立しますが……。
一切の雑務を引き受け、すべてをイヴに捧げても、孤独とプレッシャー にむしばまれていくイヴに「寄生虫」呼ばわりされてしまいます。
さらに、イヴがアルコールや薬に依存し、男遊びも派手になっていきま す。
だけど、彼を見捨てることなく、支えていくピエールにときめいてしまいます。
天才って、近くにいるとものすごくエネルギーを奪われてしまうかもしれません。
遠くで見ていた方がいいのかな、なんて弱気な気分にもなってしまいます。
天才を支え続けることができる人もまた、桁違いのパワーを持っているはず。
全面協力したピエール本人に「本人じゃないかと思い、動揺して混乱した」とまで言わしめたサンローラン役のピエール・レネの繊細な美貌にもドキドキです。
イヴ・サンローラン財団初公認作品のため、財団が所有する貴重なアーカイブ衣装も貸し出され、当時の雰囲気を楽しむことができます。
モードが大好きな方にもそうでない方にも、オススメです。
(小泉 浩子)