全ての頼み事にYESと言ってしまったらどうなるだろう(35点)
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全ての質問に迷わずただ"YES"とだけ答えられればどんなに楽だろう。『イエスマン “YES”は人生のパスワード(原題:YES MAN)』でジム・キャリーはそれを実践する。日本人はよく"NO"と言えず、渋々"YES"と答えてしまうというが、もしこの映画が日本製だったならば、『ノーマン』になるだろうか。
銀行の投資信託を担当し、"NO"と言える機会が十二分にあるカールは親友ピーターの婚約パーティーをすっぽかしてしまう。親友から信用をなくしてしまうかもしれないという人生の危機的状況に瀕してしまうカールは"YES"は人生のパスワードであるというセミナーに出席する。そこでセミナーの教祖にしごかれ、彼はこれから頼まれる事に全て"YES"と答える誓いを立てるのだが…。
この映画には実話を基にしたというイギリス人のダニー・ウォレスの原作があり、それを『寝取られ男のラブ♂バカンス』の監督でもあるニコラス・ストーラー等が脚本を手掛け、『チアーズ!』や『恋は邪魔者』等で知られる映画監督ペイトン・リードが監督した。主演のジム・キャリーはプロデューサーに名を連ね、この作品に対する意気込みを感じるが、韓国語を話す以外いつものジム・キャリー映画と変わらない印象で新鮮味は全くなく、既にどこかで観た事ある様な物語だ。
ジム・キャリーのキャラクターが『ライアーライアー』や『ブルース・オールマイティ』のものとなんら変わらないのに対し、カールが出会う女性アリソンに扮するズーイー・デシャネルが恐ろしく可愛い。1作品前の『ハプニング』では特に良い印象を受けなかったが、今回彼女がバンドのボーカルとして歌うシーンでは否応無しに見とれてしまう。また、ここ数年出演作が相次ぐ俳優ブラッドリー・クーパーもカールの親友ピーター役でこの映画に出演しており、ジム・キャリーだけではもう人々の興味をそそる事の出来ない状況を救う。
YESはNOに比べ、ポジティブな印象を受ける。それでもやはり陰と陽の様にNOが存在する事で人としてのバランスが取れるはずで、NOという事も大事だとこの映画は述べている。今更ジム・キャリーを通してそんな当たり前の事を説明されても…、と観る側からしてみれば思ってしまうのだが、物語なんかそっちのけでただただズーイー・デシャネルが魅力的である。
(岡本太陽)