アルマズ・プロジェクト - 福本次郎

宇宙ステーションに閉じ込められた乗務員を船内に設置されたモニターが記録していく。映画は、船内で起きた事故が撮影された映像を編集して一本の作品にまとめた体裁で、乗組員が正体不明の恐怖と戦う様子をリアルに体感させる。(60点)

アルマズ・プロジェクト

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 宇宙ステーションに閉じ込められた乗務員を船内に設置されたモニターが記録していく。発信源不明の電波を受信した後、コンピュータに異常が現れ、地上との交信も途絶え、脱出用の宇宙船も勝手に離脱する。退路が断たれたうえ、軌道を外れて落下する運命。さらに謎のパルスは地球の反対側から発せられたものと判明し、ステーション内は疑心暗鬼に支配されてゆく。その過程で、ロシア人乗組員と欧州宇宙機構クルーの対立が浮き彫りになる。映画は地表に墜落した宇宙ステーションのブラックボックスを回収し、船内で起きた事故が撮影された映像を編集して一本の作品にまとめた体裁をとり、乗組員が正体不明の恐怖と戦う様子をリアルに体感させる。

 ロシアの宇宙ステーション・アルマズを視察するために欧州宇宙機構のメンバーがやってくる。ODLCというアンテナを廃棄していなかったせいで、コンピュータウイルスを受信・感染してしまい、アルマズは制御不能に陥る。やがて乗組員の肉体にも変化が現れ始める。

 何が起きているのかあまりよく分らないが、誰かが何かを隠していて、事態が悪い方向に向かっていることだけは確実。シグナルを解読するとシナイ半島やアステカのピラミッドとともに二進法の数字の羅列による大量の情報が隠されている。なんらかの意味のあるメッセージなのかただの雑音なのか、それすらもはっきりしない。そんな、乗組員が味わう苛立ちがじわじわと見るものの心に侵入してくる。

 民間機関がアルマズの残骸から手に入れた船内映像をもとに、ソ連時代から極秘扱いされていた軍事用宇宙ステーションを暴露し、地球外知的生命体の存在までほのめかす。そして、あくまでドキュメンタリーのスタイルを崩さない。しかし、ハンディカメラを持つクルーを撮っているシーンや船外の映像などがあるところをみると、フィクションにも思える。このあたり、精巧に作られた虚構なのか、初めて暴かれた真実なのか、その疑問が見終わった後の最大のフラストレーションとなった。

福本次郎

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