アベンジャーズ - 青森 学

アメコミのヒーロー同士の対決も観られてとても贅沢な映画といえそうだ。マーベルとしてもこれまで世に作品を送り出してきた活動のマイルストーンになるだろう。(点数 85点)


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雷神ソーとロキの関係が今作の鍵なので『マイティ・ソー』だけでも予備知識として観ておいたほうが良さそう。

アイアンマンであるトニー・スターク(ロバート・ダウニー Jr.)とハルクに変身する科学者のブルース・バナー(マーク・ラファロ)の専門的な会話にはついていけなかった。
科学知識を披瀝するような会話は無駄。
マーベルの作品にはこのようなシーンが多く登場する。おそらくきちんとした科学考証を下地にしていると思うが、映画を観る人の多くは子供だったり、そんなハイレベルな知識を披露されても理解出来る人は少ないだろう。

マーベルはそれを承知でこのシーンを挿入しているのだが、理解されない知識を台詞で説明することにどれくらいの意味があるのだろうか。
希望としては高度な科学知識を説明する時は台詞に頼らず、形而下に落としてその科学の偉大さを想像させるような演出が好ましい。それが無いからマーベルの作品はちょっと子供っぽく見えてしまうのだ。
長々と理解できない学術的な会話が続くともっと有益な台詞を話せば良いのにと、もったいない気がいつもするのである。

とくに真剣に映画を見ていると、こういった会話が20秒続けばそこで集中力の断絶が起こる。科学の深遠さを表現しようとしてこの表現手段を採用しているのなら、それによって共感を失う人もいるリスクを製作側が計算に入れているのか。
そこはやはり子供向きと割り切っているのだろうか。
理解できないものに憧れや羨望を抱くのは子供が持つメンタリティであって、いい齢した大人には分からないもの、理解できないものは拒絶するか白けた気分になる。
このような表現は今ではもう古典的といえるもので、理解できないものを拝して敬う態度は、未開の民を支配しにやってきた異民族を神と崇めてしまった原住民の失敗に似ていて、そのような態度が愚かなことであるとの歴史的経験を多くの人は既に学んでいる。

元々、SFというものは現時点での科学では説明出来ない仮説を紹介するものであって、どうしても”虚構”が入ってしまうのは否めないのだが、リアリティを追求する映画にとってそれは矛盾する要素を両立させる難しい作業なのだけれど、科学の深遠さを表現するにはやはり台詞ではなく演出で見せてほしいものだ。
マーベル作品をけなすつもりは無いのだが、瑕瑾があるのはこの表現法についてである。

良い点を挙げれば、名だたるヒーローが一堂に会して活躍するとても贅沢な映画だ。
各映画の主人公たちが今作では個性を削がれて映画に埋没することなく、きちんと自分のキャクラクタを前面に出しているところが良い。
今作でも彼らの性格を曲げることなく行動するので、ヒーローたちの来歴を知っていると非常に面白い。アイアンマンであるトニー・スタークは相変わらず自分勝手に振る舞い、キャプテンアメリカは常に冷静で、この強すぎる個性を持ったメンバーをまとめようと尽力する。
そんな努力の甲斐もあって後半は異次元から襲来する敵と一丸となって戦うヒーロー達の勇姿は壮観であった。
只、この作品の醍醐味は敵と戦うことが主眼ではなく、個性の強いヒーローたちが互いに認め合い協力していく過程にある。

また、子供心に思いそうなのが、アメコミで各自が最強と謳われるヒーローが互いにぶつかり合ってどちらが強いのかという好奇心にも応えている点である
。誰が強いのかそうでないのかは映画を観てもらうとして、キャプテンアメリカのこの世で最も頑丈な盾と雷神ソーのハンマー(ムジョルニア)の激突など、中国の故事にある最強の矛と盾の逸話を彷彿とさせるようなシーンも好奇心をそそられる。
世間では『ほこ×たて』という番組が流行っているようだけれど、いみじくも最強のヒーロー同士の対決はそれに共鳴しているようで面白い。

青森 学

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