◆さまざまなトラップが施されたファラオの墓で、裏切り者を始末し横取りしようとする悪党を出し抜くヒロイン。抜群の行動力と胆力・鼻柱の強さを持つ彼女に次から次へと危機が襲いかかり、間一髪で難を逃れる姿は手に汗を握る。(40点)
さまざまなトラップが施されたファラオの墓から医師のミイラを持ち出そうとするヒロイン。仕掛けを見抜き、裏切り者を始末し、横取りしようとする悪党を出し抜く。抜群の行動力と胆力・鼻柱の強さを持つ彼女に次から次へと危機が襲いかかり、間一髪で難を逃れる姿は手に汗を握る。そんな導入部に、血沸き肉躍る冒険が彼女を待ち受けているのかと期待するが、舞台をパリに移すと急にトーンダウン。作り手はエスプリを効かせているつもりなのだろうが、まったくセンスが合わないコメディを延々と見せられるハメになる。
妹の傷を治療するためにファラオの侍医を蘇らせようとするアデルは、彼のミイラをエジプトからパリに持ち帰る。同じころ、死後の研究をするエスペランデュー博士は、博物館に展示してある翼竜の卵の孵化に成功するが、暴れた翼竜が要人を死なせた罪で死刑宣告を受ける。
アデルは博士を脱獄させようと何度も刑務所に侵入するが、そのたびに変装を見破られ外に放り出される。弁護士、給食婦、シスター、ナース、看守と、服装だけでなくかつらやつけひげ・肉襦袢で人相風体まで変える念の入ったコスプレを見せる。それらのシーンは本来笑いを誘う意図で作られたはずだが、大きくツボをはずしていてイタすら覚える。もしかして、ズベりまくることでウケを狙っていたのか。
後半はアデルが翼竜の背中に乗って博士を救出したり、復活したミイラがパリの街を練り歩いたりと、それらの安っぽいアイデアとビジュアルにあくびをかみ殺すのに苦労した。唯一、妹のけがの原因となったテニスの場面だけはこの映画で輝きを見せる。最初は優雅にラケットを振っていたアデルと妹が徐々にエキサイトし、思いっきりボールを相手に打ち返し始める。そのあたり、双子の姉妹だからこその赤裸々なライバル心をむき出しにするふたりの心理が、ファンタスティックに誇張された映像で表現されていた。最後に、めでたく妹を蘇生させたアデルはタイタニックに乗りこみ、悪党が見送るカットが挿入されるが、まさか続編を作るつもりでは。。。
(福本次郎)