さまざまなディテールにおいてツッコミどころが満載、そういう意味では退屈しない映画だった。(点数 40点)
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先の見えない隠遁生活の果てにやっと見つけた愛を貫き通すために、
少年は立ち上がる。自ら覚醒させた能力を発揮して追っ手の襲撃から
ガールフレンドと我が身を守り、運命に決着をつけようとする姿は頼
もしい。しかし、そこに至るまでの過程がはなはだ中途半端でリアリ
ティがない。そもそも主人公に身を隠さなければ命が危ないといった
切迫感がなく、自己顕示欲が強すぎるのはいかがなものか。教育係が
いるのだから、それは“若気の至り”や“反抗期”で済まされない。
ロリアン星から地球に逃亡してきた9人の若者のうちナンバー3までが
追っ手に殺される。ナンバー4はジョンと名乗って田舎町のハイスクー
ルに通い始め、サラという美しい娘と知り合う。
他言できない秘密を抱えながらも、カノジョや友人と普通の人生を楽
しみたいと願うジョンの心境が切なくも悲しい。だが地球人ではない
彼らはそれが不可能だとわかっていなければおかしい。そのあたりの
ジョンのメンタリティが、米国の若者そのものなのはあまりにも芸が
なさずぎではないか。彼らの故郷・ロリアン星も、もしかして米国文
化に侵されているのか? ここはサラの視点から、「恋に落ちた相手
が異星人だった」苦悩を描くべきだろう。もともとの設定から間違っ
ている気がする。
さまざまなディテールにおいてツッコミどころが満載、そういう意味
では退屈しない映画だった。
(福本次郎)