そして、私たちは愛に帰る - 渡まち子

映画を支えているのは名女優ハンナ・シグラの存在感(75点)

そして、私たちは愛に帰る

 シビアな人間ドラマは、偶然を多用するが、それが決して安易なハッピーエンドにつながらないところが深い。ドイツとトルコを舞台に3組の親子の生と死がすれ違う物語だ。映画を支えているのは名女優ハンナ・シグラの存在感。ファティ・アキン監督はトルコ系ドイツ人監督で、派手さはないが繊細な演出が持ち味。父子や母娘の愛情と亀裂がさまざまな悲劇を生むが、それでもどこか希望を感じるから不思議。特にラスト、海を見つめる息子の後姿が素晴らしい。ドイツでのトルコ移民の問題や宗教事情など、日本人には分かりにくい要素もあるが、犠牲と許しが作品のテーマと考えると普遍的な物語に思えるはず。民族音楽も含め、じっくり味わうに価する作品だ。

渡まち子

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