さまよう刃 - 前田有一

東野圭吾の社会派ミステリを映画化(60点)

さまよう刃

© 2009『さまよう刃』製作委員会

 手元にはあるのだが、あまりの分厚さにいまだ原作を読んでいない。だから映画との違いはわからないが、なんとなく想像がついてきた。というのはすなわち、なぜこの映画がイマイチなのか、という理由についてである。

 長峰重樹(寺尾聰)にとって、妻が死んで以来、唯一の家族で希望そのものだった高校生の娘、絵摩(伊東遥)が殺された。絶望に打ちひしがれる重樹の元に、ある日匿名で電話が入る。それは、犯人の名前と住所を密告する内容だった。

 愛するものを奪った犯人に、警察も法も届かない。そんなとき人間は何を考え、どう事態(と自らの心)に決着をつけようとするのか。重いテーマをもつ犯罪ドラマだ。その主題に合わせるように、映像も重苦しい質感。深い悲しみを内に秘める中年男、といった人物は、主演の寺尾聰にとってもハマり役だろう。

 ただし、それだけじゃどうにもカバーしきれない、作風に似つかわしくないマヌケさが本作には残っている。警察の捜査は妙にずさんだし、武装した事件関係者を放置プレイしているなど、見ていて脳内にハテナがつく箇所が多数見受けられる。ミステリ的趣向をこらした最終局面など、主人公の行動にもついていけない部分がいくつかある。

 そう感じる理由については冒頭にも少しふれたが、要するに説明不足。長大な原作ではじっくりステップを踏み、主人公の行動について説得力を高めてゆけたとしても、短時間の映画でそれを再現するのは難しいということか。そのためにあらゆる省略の手法を使い、脚色するわけだが、そこに力不足の感が否めない。結果として、見ていてストレスがたまる。

 こうした社会派ものの映画化としては、よく頑張った方だと思うし、邦画としては平均以上の出来なのは間違いない。というか、わざわざ「邦画としては」などと書かねばならない状況が、毎回情けなくなるという話なのだが。

前田有一

【おすすめサイト】 
Warning: file(): php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: file(http://www.beetle-ly.net/linkservice/full_nor/group73): failed to open stream: php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: shuffle() expects parameter 1 to be array, boolean given in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 82

Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 83

 

File not found.