X-MEN:ファースト・ジェネレーション - 樺沢 紫苑

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』が、かなりおもしろい。
私の中では、シリーズ最高といっていい。(点数 90点)


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TM and (C) 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』が、かなりおもしろい。
私の中では、シリーズ最高といっていい。

特に、ナチスのユダヤ人迫害や東西冷戦、そしてキューバ危機
といった歴史上の事実と「X-MEN」の誕生が関わっている
というところに引きこまれた。

ケネディのテレビ演説など、本物の映像を盛り込むことで、
虚構の世界におもしろい、奇妙なリアリティが生まれている。

映画を通して思ったのが、非常にテンポが良い。
ジェットコースターのように、次々と話が展開していくのは、
なかなかの快感だ。

その理由は、人物説明の描写がないからだろう。
映画というのは、登場人物の説明が必要となってくる。
そこをおろそかにすると、感情移入できなくなってしまうから。
 
この作品の登場人物の大部分は、既に過去のシリーズに登場している。
したがって、基本的な性格や能力などについても、観客は熟知している。

そのために、主要な登場人物だけで十人以上いるにもかかわらず、
ダラダラとした人物説明が全くなく、映画序盤からドンドンと
ストーリーが展開していく。

また、『X-MEN』シリーズを通して、ミュータントに人種差別の描写を
オーバーラップさせているわけだが、そうした人種や外見による差別、
偏見のテーマが、本作ではより鮮明に現れている。
 
青色の肌に悩むミスティーク。そのままの姿を受容するマグニート。
その二人の微妙な関係も、おもしろい。

私は、マグニートというキャラがあまり好きではなかった。
人間に対する極端な憎悪を持つマグニート。
その異常なまでの憎悪の理由が、今まではよくわからなかった。
そのため、ただ典型的な「悪役」キャラとして描かれていると思い込んでいた。

本作で、マグニートの苦しい少年時代が描かれることで、
今までの彼の人間に対する憎悪も非常に納得がいったし、
過去の作品の評価もアップすることになりそうだ。
 
「エピソード1」もの。すなわち、シリーズの過去に戻って、
過去のエピソードを描くタイプの作品は、
「スター・ウォーズ エピソード1」以来、
山ほど作られているが、なかなか成功しているものは少ない。
 
「主人公の幼少時代はこうでした」という話を
後から考えるものだから、どうしても「後付け」的
「こじつけ」的になってしまうからだ。

そういう意味で本作は、いままでの「疑問」を自然な型で
うまく解決してくれている。
「エピソード1」ものの中で、少ない成功例といえるのではないだろうか。

本作の大きな欠点は、初めて『X-MEN』を見る人には、
全く理解不能である、という点だ。

なので、本作をこれから見ようと思っている人で、
過去の『X-MEN』シリーズを一本も見ていないという人がいれば、
とりあえずDVDでチェックしてから見たほうが良いだろう。

樺沢 紫苑

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