WHATEVER WORKS - 岡本太陽

◆あの鬼才がニューヨークに帰って来た! ウディ・アレン監督最新作(45点)

 『マッチ・ポイント』『それでも恋するバルセロナ』を含む前4作はヨーロッパで映画を撮ったウディ・アレン。予算の関係でニューヨークを離れていた彼の次のロケーションはどこになるのかが期待されていたのだが、なんと彼は再びニューヨークに帰って来た。その新作が映画『WHATEVER WORKS』だ。本作の脚本自体は70年代初期に書かれたのだが、それはゼロ・モステルを主人公と考え書かれていたため、77年のモステルの死により映画制作は闇に葬られた。しかし、アレンが30年の後にその脚本を政治や社会情勢の変化に伴い現代風にアレンジし映画として再び制作されるに至ったのである。

 本作の風変わりなニューヨーカーの主人公ボリスを演じるのは米テレビ番組『ラリーのミッドライフ★クライシス』でお馴染みのラリー・デヴィッドで、物語はニューヨークの上流階級の暮らしを捨てボヘミアンに生きているボリスがアメリカ南部の州ミシシッピ州から逃げ、新しい生活を求めてニューヨーク来た少女メロディとその家族に会い、彼らの騒動に巻き込まれてしまうというありがちな話。それにしても見た目と良い、話し方と良い、ラリー・デヴィッドのキャラクターがウディ・アレンにしか見えないのが面白い。

 それからウディ・アレン作品と言えば女達。『アクロス・ザ・ユニバース』『レスラー』のエヴェン・レイチェル・ウッドがボリスに恋に落ちるメロディに扮し、今までに見せた事のない南部訛りの世間知らずでお茶目な女の子を好演している。またその母マリエッタを『エデンより彼方に』のパトリシア・クラークソンが演じている。マリエッタは南部の固い風習に縛られて生きてきた女性、彼女もなんと娘の後を追う様にして家を飛び出しニューヨークにやって来るのだが、ニューヨークという街が彼女の内面を180度変える。というよりも彼女の中にいた本当の自分が正体を現す。

 変わるのはマリエッタだけではない。妻と娘を追ってニューヨークにやって来たマリエッタの夫ジョン(エド・ベグリー・Jr.)もニューヨークマジックにかかってしまうのだ。またマリエッタがボリスに取られたメロディを不憫に思い、娘に紹介する若いイケメン男子ランディ・ジェームズを若手注目株のヘンリー・カヴィルが演じる。登場するそれぞれのキャラクターに恋愛のチャンスが訪れるのはウディ・アレンだからではなく舞台がビッグ・アップルだからこそなのかもしれない。

 『WHATEVER WORKS』のタイトルの意味、それは「何があっても幸せはやって来る」というもの。本作の脚本の基礎は70年代に書かれたラブコメディというだけあり、展開はとてもシンプル。そんなに全てうまくいかないだろう、と思ってしまうが、それが本作の言わんとする所。人生は難しいものではなく、結局何が起こってもうまく行く様になっている、と。そんな肩の力の抜けるエンディングには好感が持てる。

岡本太陽

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