ULTRAMAN - 前田有一

チープすぎて大人が鑑賞するには……。(35点)

 往年の特撮ドラマ『ウルトラマン』シリーズを、劇場用オリジナルストーリーで映画化したもの。

 幼い息子との時間を大切にするため辞職を決意していた航空自衛隊のエースパイロット(別所哲也)は、最後のフライト中に赤い発光体とニアミスする。無事帰還したものの、やがて彼の体には変化が現れる。

 シリーズのエッセンス、特に初期のものを色濃く加えたオリジナルストーリーによる映画版だ。ということで、大人のファンを狙っているのかと思ったら、とてもその鑑賞に耐える出来ではなかった。低予算で無理をした作品特有の安っぽさがそこここに見られ、さびしい限りだ。

 これじゃ子供はともかく大人には厳しいだろう。今の時代に大人向けにリメイクするということは、幾多のハリウッド映画や、近年の日本の特撮リメイクものであるキャシャーンやキューティーハニー、デビルマン(……。)などとも比較されるということだが、どれと比べても『ULTRAMAN』には特筆すべき点がない。

 これではわざわざオリジナルストーリーにしてまで映画化する必要があったのかどうか。初代ウルトラマンをそっくりそのままリメイクしたほうがまだマシではなかったか。中途半端にCGを加え、実在の自衛隊をからめたインチキな筋書きをつけるなんて、ただただチープにみえるのみだ。この映画にはかつてのシリーズが与えてくれた「胸踊るワクワク感」が決定的に欠けている。

 主人公も、ウルトラマンシリーズのヒーロー向きの役者ではないと感じる。なんだかチンピラみたいに見えてよくない。共演の女優もしかり。

 ウルトラマンのデザインもなんだか映画版キューティーハニーのようだし、戦闘シーンもハニメーション風と、オリジナリティも感じにくい。クライマックスの空中戦は悪くはないが、それだけで人を呼べるほどのインパクトがあるかどうかは微妙だ。

 航空自衛隊の百里基地でのロケシーンは、個人的には昔取材した思い出がよみがえって興味深く見られたが、本物の自衛隊機のもつ迫力は、その他の特撮シーンの迫力を上回っており両者のギャップは埋めがたい。

 『ULTRAMAN』は、基本的には子供が見るための映画だと思うが、できれば大人も楽しめる要素がもう少しほしかった。あまりにも地味で、これでは後世に語り継がれることもないだろう。

前田有一

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