丁寧に高知の暮らしを描く姿勢に好感が持てた(50点)
米国人監督が描くちょっと変わったご当地映画だ。心が離れたまま死別した息子ミッキーが残した絵を取り戻すため米国から高知に来たダニエルは、日本と日本人への偏見に満ちていた。だが、息子が愛した女性と出会い、新たな事実を知る。監督自身が高知に住んだ経験があり、不満や主張をグッとこらえて人と接する通訳の女性や、むやみに“ガイジン”に憧れるアシスタントの女の子など、日本人の性格の特徴を鋭くつかんでいる。何より“日本”を強調せず、丁寧に高知の暮らしを描く姿勢に好感が持てた。偏見を乗り越えるのは困難だが、きっと分かり合える日は来る。終盤はご都合主義のハッピーエンドとなるが、最初は乱暴に脱ぎ捨てていた靴を、日本滞在で変化した主人公がきちんと揃えるなど、細やかな描写が光った。
(渡まち子)