どこから見てもぱっとしない(20点)
香港/タイ合作のホラー映画『the EYE』シリーズのパート3というわけだが、前2作とはストーリー上のつながりはほとんどない。この3作目の中に、前作のカットが思わせぶりに挿入されたりもするが、別に気づかなくても問題はない。
タイの友人宅へ遊びにきた香港の若者男女4人組は、そのうち一人が古本屋で手に入れた『幽霊を見る10の方法』などという、インチキなダイエットのハウツー本みたいな名前の本で盛り上がる。そして真夜中、実際にその方法を試してみると、なんとビックリ、本当に霊が見えるのだった。
ところがそんなイタズラの罰があたったのか、彼らの一人が行方不明になってしまう。さては、霊に連れ去られたのか?! やがて彼らは、再び霊の世界に行って探し出そうとするのだが、というお話。
このパート3は、前作とはうってかわって、アメリカで一時流行ったティーンホラーになっている。ティーンホラーというのは具体的にいうと、『スクリーム』とか『ラストサマー』といった作品がそれで、若者が何名か出てきて、霊やらなにやらに観客と一緒にビックリするという、デート向きお気楽娯楽のこと。ただしこれは、監督が前作同様パン・ブラザーズだから、アメリカのそれとは少々違う、ダークなムードを残してはいる。
さて、ホラー映画としての『the EYE 3』だが、これまたひどい出来である。幽霊登場→キャー! の繰り返しでじつに単調、相変わらず演出力に難がある。また、ストーリーに核となる要素がないから、観客の興味をたったの85分間もひきつけることが出来ていない。
ユーレイにとりつかれた男が奇妙な動きをしているのを、偶然発見したチーマーみたいのが、ダンスで挑発されているのかと勘違いして、自分もHIPHOPダンスで対抗するなど、どうしようもないギャグが多いが、これらもちと微妙だ。少なくとも、カラっと笑えるような面白さはない。
どう見ても子供だまし&コケ脅しの連続で、まるでダメだ。一作目であれほどの才気を見せたこの監督も、いよいよ終了という事なのだろうか。さびしい限りである。
(前田有一)