THE DEVIL CAME ON HORSEBACK - 岡本太陽

ダルフールでの民族浄化の悲惨さを伝える(採点なし)

 大虐殺というと、南京大虐殺、ユダヤ人大虐殺、ルワンダ紛争でのツチ族大虐殺など、人間の歴史のおいて止む事のない悲惨なものだ。今回わたしはあるドキュメンタリー映画を観たのだが、それは21世紀に入って初めての大虐殺とされるダルフール紛争での大虐殺にまつわるものだった。『THE DEVIL CAME ON HORSEBACK』というタイトルの付けられたそのドキュメンタリー映画は、ある1人のアメリカ人男性の目を通して語られる。

 アメリカ軍人家系に育ったブライアン・ステイドル氏が海軍に志願するのはごく当たり前で自然なことだった。数年後彼は引退し、2004年9月から2005年 2月までアフリカ連合ダルフール軍事監督官として活動する。スーダン政府により虐殺状況を伝えさせない為にジャーナリストが行く事を許可されなかった地域へ出向き、彼はひたすら写真を撮り続ける。焼け落ちた村、殺された子供達、悲惨な現状を目撃者として見続けそれを写真に納める。そして彼は目撃した現状を公に伝えようとする。

 まずダルフールで何が起こったかというと、アラビア人に支配されたスーダン政府がダルフールのアフリカ系黒人市民に対して民族浄化の為に計画的大虐殺を実行した。主に政府の支援を受けた民兵組織であるジャンジャウィードが馬やラクダに騎乗し虐殺を行ったとされている。これによって殺害された人の数約18万人、難民の数は約100万人。民族や宗教、政治や土地問題などいろんな事が絡み合った結果このような悲惨に事態になってしまったのである。すべての部族が民族浄化のもとに虐殺されているので、おそらく死者数等は実際はもっと多いのではないだろうか。またこの虐殺においてレイプが頻繁に行われた。レイプが民族浄化の兵器として利用されたのだ。レイプは女性はもちろん、その家族、また男性すら破壊してしまうからだ。それからレイプされた女性が婚外性交渉を行ったとして死刑にされるケースもあるという。

 ここで事実を公にするために、ブライアン・ステイドル氏が米下院のアフリカ小委員会で証言したことを紹介しよう。

 武装ヘリが、ラバド村を空爆した直後にその上空を飛んでいます。私が先ほど説明し、写真で示したその村は、もはや存在しません。政府は武装ヘリの使用を否定していますが、(武装ヘリ)の拡大写真がこれです。スーダンの国旗が後尾部に見えるでしょう・・・(中略)・・・武装ヘリはそれぞれ4つのロケット・ポッドを搭載し、一つのロケット・ポッドには20発のロケットが入っています。そして1発のロケットには、約500個の小型矢弾が入っています。小型矢弾は散弾銃を撃ったようになります。これは、軍事目標やトラックや建物に向けて発射されるのではなく、住民を標的にして使われます。もっぱら人間を殺し、不具にするために使われるのです。

 映画の中で、悲惨な目に遭った人々が失ったものを語るシーンがあった。親、兄弟、我が子等、失ったものの大きさに皆悲痛な表情を浮かべていた。彼らの声からは痛みしか伝わって来なかった。この様な悲惨な事実を公にし、人々にそれを突きつけ、目を向けさせなくてはならない。この『THE DEVIL CAME ON HORSEBACK』はそう感じずにはいられない映画だった。人々に意識を向けさせることが大事なのだ。そこで、ダルフールにおける紛争から影響を受け、人々の人道危機に対する意識を高めるために今年こんなCDが発売された。それは『メイク・サム・ノイズ:キャンペーン・トゥ・セイブ・ダルフール』という題名のジョン・レノンの楽曲を集めたカバーアルバムだ。U2、R.E.M、クリスティーナ・アギレラ、ザ・キュアー、グリーン・デイ等多くのアーティストが参加している。。無視しようと思えば、遠い国で起こっていること等簡単に無視できるものだ。しかし、人々の意識次第で、民族浄化という恐ろしい事はなくなるのではないか、『THE DEVIL CAME ON HORSEBACK』もジョン・レノンのカバーアルバムもそういう考えのもとに制作されている。

 日本ではダルフールのことはどのように報道されているのであろうか?実はあまり聞き慣れていない人が多いのではないだろうか?しかし、もし自分の親、兄弟、息子、娘等大事な人が無惨な殺され方をしたらどう思うだろうか?

岡本太陽

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