THE 4TH KIND フォース・カインド - 岡本太陽

◆エイリアンによる誘拐を題材にした残念な映画(10点)

 ドキュメンタリーとフィクションがスクリーン上で所どころ同時に進行するというスタイルをとった映画『THE 4TH KIND フォース・カインド(原題:THE FOURTH KIND)』。2000年に実際にあったアビゲイル・タイラー博士にまつわる事件の一部始終を、ビデオ撮影された『ブレアウィッチ・プロジェクト』の様なドキュメンタリー的映像として見せ、それを基に制作されたミラ・ジョヴォヴィッチがタイラー博士に扮するストーリーはビデオで撮影されていなかった裏の出来事を描いてゆく。そのトリックによる効果が人々の恐怖心と好奇心を煽る事を期待した本作だが…。

 オラトゥンデ・オスンサンミが監督したこの映画ではアビゲイル・タイラー博士の体験に焦点を当て物語が展開してゆく。アラスカ州ノームに住むタイラー博士(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は息子と娘のいる心理学者で、夫が何者かに殺害されたと信じている未亡人でもある。彼女は受け持つ患者の何人かに同じ様な不眠症を訴える者がいる事に興味を持った事で町を騒然とさせる事件に巻き込まれていく。共通して患者が言う事は、”夜中にフクロウを見る”というもので、その調査を進めてい中で、博士が患者のうちの1人に催眠術をかけると彼は恐怖に捕われ発狂。彼の身に何が起こったというのか。

 フクロウの顔もどことなくエイリアンに似ているし、“フォース・カインド”が地球外生命体に誘拐された事を指す様に、当然ながらタイラー博士の患者はエイリアンに誘拐された疑いがある。本作の舞台ノームではエイリアンによる誘拐が多く報告されているが、例えば地球外生命体が人類が誕生するずっと前から地球を訪れていたとすると、人間をさらう事なんて彼らにとっては実は簡単な事で、ノームにいようと世界中どこにいようと彼らには関係ないのかもしれないし、わたしたちはもう既に気付かない間に誘拐されてしまっているのかもしれない。

 本作はとにかく奇妙、キミョウ。これをまじめに怖がらせようとして作ったにしては、映画の中に登場する録音されたエイリアンの声も不気味どころか、彼らを馬鹿にした様な音作りがされているし、第一アビゲイル・タイラー博士のドキュメンタリー映像がモキュメンタリーなのは残念でしかなく、結局全部フィクションなら映画はただの悪いジョークでしかないだろう。それにエイリアンを悪者として描く映画にも飽き飽きだ。

岡本太陽

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