TAXi(4) - 前田有一

カーアクションとしての魅力を失った(30点)

 『TAXi』は、本国フランスでは他の追随を許さない国民的人気シリーズであり、はや4作目となった。あえて思い切りはしょって言ってしまえば、このシリーズの魅力は世界最高レベルのカーチェイスと、同じく最高レベルのしょうもないドタバタギャグの二本柱だ。

 刑事エミリアン(フレデリック・ディファンタール)は、ベルギーの怪物なる凶悪犯の護送任務中にドジを踏み、逃げられてしまう。彼は、プジョー407を駆るタクシー運転手ダニエル(サミー・ナセリ)の協力を得てモナコへと追跡する。一方エミリアンの妻ペトラ(エマ・シェーベルイ=ヴィークルンド)は、おとり捜査で犯罪組織に潜入していた。

 シリーズを通して主人公の恋人?奥さん役だったマリオン・コティヤールが出ていないせいか、華やかさに欠ける。それだけならまだしも、主要キャストが抜けたシリーズというのは、どうも奥さんに逃げられた男を見ているような哀れみを感じさせていけない。

 『TAXi4』では、その分ジベール署長役のベルナール・ファルシーが大ハッスルしてキャラクター映画としての人気をキープしようと頑張っているが、どうもぱっとしない。むちゃくちゃをやってはいるが、3までの突き抜けたバカさというものが薄れている。さすがに意外性もなくなったし、アイデアも打ち止めか。

 カーアクションとしての魅力はさらに無残なものになっていて、もはやカーチェイスといえるような場面すらほとんどない。完全に警察ギャグドラマとなってしまっており、タイトルと内容が大きく矛盾している。これなら『TAXi4』というより『署長4』にしたほうが良い。

 そもそもタクシーが話に絡む必要性がまったくないので、改造プジョーが出てくる場面も無理やりとってつけたようで痛々しくさえ思える。

 プジョーの真っ白なセダンは、パート1で見たときは本当にカッコよかったが、外見がトランスフォーマーよろしくガチャガチャ変形するようになって、そのスタイルの良さをなくした。バレバレのCGによるこの変形シーン、受け狙いなのかもしれないか、ぜんぜん面白くはない。

 フランス車を使ったハリウッド作品にない新鮮さ、車体の美しさ、そして本格的なカーチェイス撮影。そういうかつての美点はもう、このパート4にはまったく残っていない。

 中途半端なガンアクションなど、このシリーズには誰も求めてはいないはず。いち観客としては、タクシーが大活躍するという意外性にみちた本格的カーアクションとしての復活を願いたい。

前田有一

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