TAXi(4) - 福本次郎

◆バリバリにチューンアップしたプジョーで300キロ以上のスピードで疾走するテクニックは健在。舞台をマルセイユに戻し、スリルあふれる超絶カーチェイスを見せるのかと思いきや、センスのかみ合わないコメディになっている。(30点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 バリバリにチューンアップしたプジョーで公道を300キロ以上のスピードで疾走する。他の車を巧みに追い越し、狭い裏道を縫うように走る主人公のテクニックは健在。舞台をこの作品の原点・マルセイユに戻し、スリルあふれる超絶カーチェイスを見せてくれるのかと思いきや、この新作はセンスのかみ合わないコメディになっている。登場人物、特に刑事たちの間抜けぶりを強調することで権力に対する風刺を描きたかったのかもしてないが、あらゆるおふざけがわざとらしく、到底笑えない。フランス人にはこれが面白いのだろうか。

 マルセイユに凶悪犯が護送され、今回の警察の使命はその男を無事にコンゴ行きの飛行機に乗せること。しかし、警察署に移送したとたん、エミリアンのヘマで凶悪犯を逃がしてしまう。凶悪犯はモナコの銀行強盗を計画、エミリアンは親友のダニエルと共に男の身柄を奪還するためにモナコへ向かう。

 プロローグ、ダニエルのタクシーがサッカー選手のシセをホテルから競技場に送る。車体が走るためのマシンに変身し、飛ぶような速度で街を抜け、フィールドにたどり着く。このシーンにかけられた情熱とカネは、まだ見ぬスピードの世界を観客に体験させてくれる。そして、その後も街中でサッカーに興じる人々の姿を通じて、人間はみなどこかでつながっているというメッセージを送っている。しかし、楽しめたのは冒頭の15分ほどだけ。凶悪犯がなぜかボディスーツに身を包んだ上に鎖で拘束されていたり、凶悪犯の仲間が簡単に警察に入り込んで所長のパソコンをいじったりと、ありえないようなシチュエーションばかり。チャップリンの時代のドタバタ喜劇を見ているようだ。

 しかも、エミリアンの妻・ペトラが潜入捜査官として脱走した凶悪犯と共に銀行強盗に一肌脱ぐのだが、その後は大量の銃器やロケット弾の乱れ打ちで混沌を極め、ダニエルが自慢の愛車で超絶運転技術の腕を見せる機会もない。まあ、まるで鬱憤を晴らすように警察官を馬鹿にしているところを見ると、普段フランス人は相当警察を嫌っているということなのだろう。

福本次郎

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