パリという都市そのものが主役(65点)
外国人が描くパリは憧れに満ちているが、フランス映画のそれはいつもどこかメランコリックだ。余命わずかな青年ピエールの目を通して、パリに暮らす様々な人々の人生模様を描いていく。すべてが何気ないエピソードばかりだが、そのひとつひとつを愛おしく描く手腕がさすが。パリの名所もチラリと映るが、印象に残るのは名もない通りの石畳や小さなパン屋などありふれた風景だ。いつもコミカルなクラピッシュ作品と違って、難病や移民問題などにも触れるが、シリアスな内容にはせず、あくまでスケッチ風に流したことでパリという都市そのものが主役になった。浅い人間描写を魅力に変えるところがクラピッシュらしい。人生を愛そう。これが映画のメッセージだ。
人間関係から仕事上の悩みまで、文句を口にしながらも精一杯生を満喫している人々。思い通りにならないことばかりなのに、心を寄せる人に胸をときめかせるわずかな瞬間があるからこそ代わり映えのしない毎日に耐えられるのだ。(50点)
きらびやかなイルミネーションが夜空に浮かび上がるエッフェル塔、そんな観光客が喜びそうな表の顔ではなく、描かれるのはそこに住む普通の人々の暮らし。家族、友人といった人間関係から仕事上の悩みまで、文句を口にしながらも精一杯生を満喫している。そして、彼らの生の源となるのはやはり恋。老いも若きも思い通りにならないことばかりなのに、心を寄せる人に胸をときめかせるわずかな瞬間があるからこそ代わり映えのしない毎日に耐えられるのだ。
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◆どこかやりきれない余韻を残す(70点)
心臓病を患うダンサーのピエール(ロマン・デュリス)は、臓器提供者を待つ身。自宅アパートのベランダからパリの街と行き交う人々をながめる日々を過ごしている。ピエールを心配して同居をはじめる姉のエリーズ(ジュリエット・ビノシュ)は、3人の子供を育てるシングルマザー。仕事と育児に追われながら自分の幸せを探しているが……。
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