◆フェリーニの「8 1/2」のミュージカル版の映画化だが、全く別物と考えた方がいい。大物女優たちの「隠し芸大会」としては楽しめる(70点)
冒頭、主人公の映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)が撮影所で幻想を見る場面で、もう心を打たれてしまった。ニコール・キッドマンをはじめ、大物女優たちが次々と登場し、最後はイタリアの顔、ソフィア・ローレンである。老いてなお毅然とした(そして胸も大きい)ローレンを見ることが出来ただけで、本作の価値はあると思った。
◆フェリーニの「8 1/2」のミュージカル版の映画化だが、全く別物と考えた方がいい。大物女優たちの「隠し芸大会」としては楽しめる(70点)
冒頭、主人公の映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)が撮影所で幻想を見る場面で、もう心を打たれてしまった。ニコール・キッドマンをはじめ、大物女優たちが次々と登場し、最後はイタリアの顔、ソフィア・ローレンである。老いてなお毅然とした(そして胸も大きい)ローレンを見ることが出来ただけで、本作の価値はあると思った。
◆ゴージャスなはずなのに、印象には残らず(30点)
イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作『8 1/2(はっかにぶんのいち)』(63年、伊)をリアルタイムで見たものは、皆そのめくるめく映像美に圧倒されたと口をそろえる。
◆撮影が始まるのに脚本が書けない、追い詰められた映画監督の創作の苦悩が浮き彫りにされる。現実から逃げ妄想に浸る主人公のイマジネーションが生んだ、ゴージャスな女優陣のセクシーなダンスの数々は華やかに目を楽しませる。(60点)
新作の撮影が始まろうとしているのに、脚本が一行も書けていない。記者会見、銀行員、プロデューサー、映画に関わる人々が次々と催促するなか、インスピレーションはわかず、ペンが進まない。いっそ誰もいないところに消えてしまいたい、そんな追い詰められた映画監督の、創作の苦悩が浮き彫りにされる。現実から逃げ回り妄想に浸る主人公のイマジネーションが生んだ、ゴージャスな女優陣によるセクシーなダンスの数々が華やかだ。まだ映画が娯楽の王様で監督が撮影所の神様だった時代の雰囲気を残しつつ現代風な味付けもなされており、豪華なセットを組んだミュージカルナンバーは虚構の世界を存分に堪能させてくれる。
◆「8 1/2」が創作に思い悩むフェリーニ自身を自虐的に投影したアート系ムービーの最高峰なら、「NINE」はその山に登るための優れたガイドブック(75点)
超豪華キャストのミュージカルは、全盛期のイタリア映画への敬意に満ちている。1964年のイタリア。世界的な映画監督のグイドは、新作映画のクランクインを前に、深刻なスランプ状態だ。脚本が1行も書けずにパニックになり愛妻のルイザに助けを求めるが、グイドには妻以外にも沢山の愛する女性が。全てを忘れさせてくれる愛人、魅惑的な主演女優、長年の親友の衣装係、若くて美人の記者、最愛の母親に果ては初めて男として目覚めさせてくれた娼婦まで。プレッシャーの中で苦悶するグイドは、多くの女たちの幻想に溺れていく…。
◆スクリーン上のセクシーな“国連会議”に酔え!(80点)
スランプに陥った映画監督の産みの苦しみを、周囲を取り巻く多彩な美女との関係を絡めて描いたミュージカル。同名のブロードウェー・ミュージカルの映画化作品だが、そのまた原点には名匠フェデリコ・フェリーニの代表作『8 1/2』(63)がある。
◆大事件! これはフェリーニの『8 1/2』に対する侮辱だ!(3点)
例えば、誰かに好きな映画は何かと聞かれたら、映画好きの多くがフェデリコ・フェリーニの『8 1/2』をその1つに挙げるだろう。それは製作年から40年以上たった今でも人々に愛され続けている世紀の作品であり、1982年にはブロードウェイミュージカル化もされ(2003年にはリバイバル上演された)、巨匠の魂は形を変えながらも時代を越え受け継がれている。『8 1/2』を基にした『NINE/ナイン(原題:NINE)』は『シカゴ』『SAYURI』で知られるロブ・マーシャル監督最新作。舞台出身の監督なだけに本作は『シカゴ』同様ミュージカル映画となっているのだが、これは衝撃的な事件だ。傑作が汚されてしまった。