あらゆるところに設置されたモニターが人々の日常を監視し記録する。それは犯罪防止に役立つ一方で、無防備な他人の生活を覗き見する趣味の悪さも感じさせる。そして権力に悪用されたときの「管理社会」の恐怖を予感させる。(60点)
テロ予防の名目のもと、あらゆるところに設置されたビデオカメラが市民の日常を監視し記録する。それは犯罪抑制と偽証を明らかにする傍ら、無防備な他人の生活を覗き見するという趣味の悪さも感じさせる。安全のためにプライバシーを差し出すという流れは加速され、人々は見られていることに不感症になる。映画はすべてのシーンがモニターの映像で構成され、さながらドキュメンタリーの様相を呈する。そこで隠し撮りされた人間たちが赤裸々な素顔をさらけ出していく過程を通じて、権力に悪用されたときの「管理社会」の恐怖を予感させる。ただ、録画されたドラマはやや設定が大げさで、もう少しリアリティを持たせて欲しかった。