60年代末、ミュージシャンとしての成功を夢見てハデに散っていった若者たちのほろ苦い青春通じて、芸能界の虚飾、ファンの移ろいやすい心理、そして何より少し古ぼけた色調の映像でこの時代の雰囲気を忠実に再現している。(70点)
© 2008「GSW」製作委員会
フリル付きのシャツに真っ白なタイツと編み上げブーツ、マッシュルームカットでムード歌謡を歌うというグループサウンズの世界。彼らを取り巻く世の中では、長いまつげとサイケなファッションが大流行。映画は、60年代末の短い期間に、ミュージシャンとしての成功を夢見て打ち上げ花火のようにハデに散っていった若者たちのほろ苦い青春をコミカルに描いている。芸能界の虚飾、ファンの移ろいやすい心理、そして何より少し古ぼけた色調の映像でこの時代の雰囲気を忠実に再現する。
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異様に耳にこびりつくGSの音楽の威力(65点)
© 2008「GSW」製作委員会
GS(グループ・サウンズ)ブームを背景にした青春音楽映画。1968年、ノリでバンド・デビューした、マサオ、男装したミクら4人は「ザ・タイツメン」として人気を博す。当時を知らない世代の石田や栗山らがかなり恥ずかしい衣装でハジケまくる姿や生真面目な芸能ニュースが楽しいが、流行を追って狂騒する音楽業界の内幕はもっと笑える。冒頭の、ビートルズが秋田にいるというウソさえ信じてしまうほど、当時の人々はGSに夢中だったのだ。異様に耳にこびりつくGSの音楽の威力に驚く。楽器が弾けないおやじ4人組「ザ・フレッシュフォー」がラストまで意外な形で登場。芸能界って奥深い。
◆ブームと大人社会に翻弄される若者たちの物語(55点)
小さな音楽プロダクションを営む梶井(武田真治)に、マサオ(石田卓也)たちのバンドはスカウトされる。ところが、レコード会社が用意していたのは、オルガンを必要とする楽曲だったため、梶井は、けん盤が弾ける歌手志望のミク(栗山千明)を男装させて、メンバーに加える。こうして「ザ・ダイアモンズ」改め「ザ・タイツメン」のデビューが決まったが……。
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