◆細胞の記憶は持ち主の死後も生き続けるのか。心臓はドナーの本能をそのまま保持し、移植された作家の精神を狂わせていく。しかし、血やナイフのイメージばかり先行して悪意の源泉が中途半端にしか描かれておらず中途半端だ。(40点)
細胞の記憶は持ち主の死後も生き続けるのか。特に臓器の中でもいちばん重要な心臓ならば、そこに宿った思いは強烈。心臓はドナーの本能をそのまま保持し、移植された作家の精神を狂わせていく。しかし、血やナイフのイメージばかり先行して肝心の悪意の源泉が中途半端にしか描かれておらず、作品のテンションは盛り上がらない。もっと、心が浸食されていく男の感情を主観的に表現して、人格を乗っ取られる恐怖を具体的に見せるべきだろう。