◆日々、執行官の足音に脅えながら拘置所で朝を迎える死刑囚のみならず、判決を下した裁判官の人生も狂わせていく死刑制度。心理的に追い詰められた状況で自白を強要されていく恐ろしさが、生理的なリアルさをもって描かれる。(60点)
警察の思い込み捜査、刑事による拷問のような取り調べ、さらに検事による高圧的な尋問。公権力の前では一個人はこれほどまでに無力で、魂ですら打ち砕かれていくものなのか。映画は、袴田事件は冤罪・捏造という仮説にたち、人を裁き人の命を奪う判決を出すことがいかに葛藤をともなうものであるかを物語る。日々、執行官の足音に脅えながら拘置所で朝を迎える死刑囚のみならず、判決を下した裁判官の人生も狂わせていく死刑制度。心理的に追い詰められた状況で自白を強要されていく恐ろしさが、生理的なリアルさをもって描かれる。