幸せが一転した大過去と、他人のプライバシーを調べるという近過去の断片が混在し、一切の説明はない。主人公の真意を隠しミステリーテイストを纏うが、もう少しヒントを小出しにして見る者の興味を殺がない工夫をすべきだろう。(40点)
自殺予告電話をかけた男の人生がフラッシュバックされる。幸せだった妻との記憶、やり手営業マンで相当な収入、そして悲劇的な交通事故。そういった大過去と、公務員として数人のプライバシーを調べ上げた末に接近する近過去の断片が混在し、一切の説明はない。彼が何者で、その意図をなかなか見せないことでミステリーのテイストを纏うが、思わせぶりな語り口でほぼ映画の最後まで答を明かさないという、あまりにももったいぶった構成のおかげで、中盤以降はかなり中だるみした印象を受ける。もう少しヒントを小出しにして見る者の興味を殺がない工夫をすべきだ。
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「幸せのちから」に続くウィル・スミス主演・感動作(65点)
キリスト教圏の映画で数字の7が出れくれば、それは彼らの宗教にかかわるテーマやモチーフということ。『7つの贈り物』ももちろんそうで、最初のモノローグで主人公は、7日間で世界を創造した主と自らの人生を比べ、自嘲気味に語る。それがいったい何を意味するのか、ラストで驚きとともに明らかになる。
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神の真似事をする不愉快な物語(10点)
感動作のふりをしているが、中身は、神の真似事をする不愉快な物語だ。心に傷を負ったベンは、見知らぬ男女7人に彼らの人生を変える贈り物をする。ネタバレは禁止なので詳しくは明かせないが、主人公は、善人に対し善行を施すのが目的。だが“選ぶ”などという行為がそもそも傲慢だ。基準も曖昧で納得できない。動機もある意味で平凡である。冒頭から苦悩モードのウィル・スミスの熱演も、物語に説得力がなければ空回りするばかりだ。7人目の女性と共に過ごす穏やかな場面のみ、幸福感が漂う。この作品は、間違いなく意見が割れる。それが目的なら大成功といったところか。
◆複雑な心情を抱く主人公ベンの心理描写が巧み(70点)
『アイ・アム・レジェンド』、『ハンコック』とお得意のSFアクションが続いたウィル・スミス。そんな彼が再びドラマ作品に挑戦した。二年前に主演した『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ監督と再びタッグを組んで「贖罪」をテーマにした感動系人間ドラマだ。
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◆ウィル・スミスが究極の贖罪を敢行(70点)
通販会社の電話オペレーターとして働く盲人にしつこくクレームをつける。入居者を虐待する老人ホームの経営者に、「お前には、やらない!」と謎の言葉をぶつける。『7つの贈り物』は、主人公のこんなシーンから幕を開ける。どうやら彼は「いい人間」を探しているらしい。でも、いったいなぜ?――と思った時点で、あなたは作り手の術中にはまっている。
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